不在の人、死者、超自然的存在、動物、無生物などを活躍させる（多くは語らせる）文彩

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* 『君、経帷子（きやうかだびら）を持つて来るには少々早やすぎるぢやないか。』／死は私の言葉に応じて、妙に微笑し、／『ほんの仮縫（かりぬひ）にですよ』と私に答へた。／／『そこが余り緩（ゆ）るすぎやせんかね、またここが堅（かた）すぎる。／第一、僕はこの色合が気に入らない。／何はさて置き、多少スタイルが無くてはね。』／／死は大きな笑（ゑみ）を洩（もら）して軽蔑（あざわら）ひ、／私にいつた、『御常談（ごじやうだん）ものですよ、／これはあなたの生命（いのち）の着物を／一寸ひつくり返へしたのみぢやありませんか。』 （野口米次郎「経帷子」）

* 『日本語修辞辞典』（野内良三／国書刊行会）