ex:a2126

「自分の顔がまるで知らない人の顔のように見えて」

「自分の顔がまるで知らない人の顔のように見えて」

Page Type Example
Example ID a2126
Author 梶井基次郎
Piece 「泥濘」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 211

Text

夜晩く鏡を覗くのは時によっては非常に怖ろしいものである。自分の顔がまるで知らない人の顔のように見えて来たり、眼が疲れて来る故か、じーっと見ているうちに醜悪な伎楽の腫れ面という面そっくりに見えて来たりする。

Context Focus Standard Context
知らない人の顔 (自分の顔)

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 他人 = 自分 自他=他人

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A 見えて が-主語
2 まるで ように ちょうど(ちょうど)
3 B の[ように見えて来たり] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
4 B [の]ように[見えて来たり] 様-類似-連用形
5 B [のように]見え[て来たり] 判ずる・判じる(はんずる・はんじる)
6 B [のように見え]て[来たり] て-補助用言に連なる用法
7 B [のように見えて]来[たり] 来る(くる)
8 B [のように見えて来]たり たり-「〜たり〜たりする」

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 夜中に鏡で見る自分自身の顔を「知らない人」と形容することで、日中では意識せず、自分自身の顔が普段とは大きく異なって見え、今まで知ることのなかった自分の性質や側面に気付く様子を表現する。
誇張法 (hyperbole) 隠されていた性質が普段の自分とまったく異なるものであることを「知らない人」と表現することで際立たせる。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)