ex:a1735

「言葉は失われ異様な目を大きく見開いているだけだ」

「言葉は失われ異様な目を大きく見開いているだけだ」

Page Type Example
Example ID a1735
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 273

Text

爆撃のさ中に於て四五歳乃至六七歳の幼児達は奇妙に泣かないものである。彼等の心臓は波のような動悸をうち、彼等の言葉は失われ、異様な目を大きく見開いているだけだ。

Context Focus Standard Context
異様な () 目を大きく見開いている

  • 慣用表現「目を見開く」を拡張している。ここでは、「異様な」という修飾部が描写するのは、目が見ている光景の異様さについて述べていると解釈する。別の解釈として、「異様に大きな目」とも取れるか。さらに別の解釈として、語り手が異様であると感じたことを反映しているとも取れるかもしれない。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 > 光景 目>景

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
転移修飾語 (transferred epithet) 幼児たちの目の見開き方が「異様な」結果、彼らの目の様子が「異様な」ものになっている、ということが表現されている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)