ex:a0692

「人間が、大風に吹き散らされる落葉のやうに逃げ迷つてゐる」

「人間が、大風に吹き散らされる落葉のやうに逃げ迷つてゐる」

Page Type Example
Example ID a0692
Author 芥川龍之介
Piece 「地獄変」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 101

Text

兎に角さう云ふいろいろの人間が、火と煙とが逆捲く中を、牛頭馬頭(ごづめづ)の獄卒に虐(さいな)まれて、大風に吹き散らされる落葉のやうに、紛々と四方八方へ逃げ迷つてゐるのでございます。

Context Focus Standard Context
大風に吹き散らされる落葉 人間 四方八方へ逃げ迷つてゐる

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 落葉 = 人間 人間=若葉

Grammar

Construction AがBのようにCへD
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D が-主語
2 B の[ように] D の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように D 様-類似-連用形
4 C D へ-方向・方角

  • 「紛々と四方八方へ」をElaborationとした。

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 地獄で獄卒に責め苛まれる人々について、獄卒という圧倒的な力に対する卑小な人間という構図を、大風という圧倒的な力に為すすべもなく吹き飛ぶ木の葉との類比関係を引き合いに出して分かりやすく表現する。
誇張法 (hyperbole) 大風と落ち葉の関係から、獄卒と人間との間に圧倒的な力の差が感じられる。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)