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====== 修辞的効果 ====== | ====== 修辞的効果 ====== | ||
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レトリックの主な目的は、表現法を工夫することで、受け手に何らかの効果を与えることです。効果を分析するというのは、ある言語表現を使うことによって、その結果として受け手に何が起こるのかを分析することだと言えます。修辞的効果とは、レトリックによる表現効果です。修辞的効果としては、例えば、自然現象がまるで人間の感情をもっているかのように感じられる、表現が簡潔になり伝達する意味が凝縮される、アイロニカルな調子が出る、反復による音楽的な効果が出る、などがあります。 | レトリックの主な目的は、表現法を工夫することで、受け手に何らかの効果を与えることです。効果を分析するというのは、ある言語表現を使うことによって、その結果として受け手に何が起こるのかを分析することだと言えます。修辞的効果とは、レトリックによる表現効果です。修辞的効果としては、例えば、自然現象がまるで人間の感情をもっているかのように感じられる、表現が簡潔になり伝達する意味が凝縮される、アイロニカルな調子が出る、反復による音楽的な効果が出る、などがあります。 | ||
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* 詩的機能(メッセージ焦点) | * 詩的機能(メッセージ焦点) | ||
- | 以下では、言語コミュニケーションのいずれの側面を焦点化するかという観点から、多種多様な修辞的効果を整理します。用語によっては、2つ以上の言語機能に紐付けられています。 | + | [[index:effect#修辞的効果の類型]]では、言語コミュニケーションのいずれの側面を焦点化するかという観点から、語用論的アノテーションを分類する多種多様な修辞学用語を整理します。用語によっては、2つ以上の言語機能に紐付けられています。 |
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以下のような方針で、用例の語用論的アノテーションを行っています。 | 以下のような方針で、用例の語用論的アノテーションを行っています。 | ||
- | * テクストの読解を行い、修辞技法の効果を文章化して詳しく記述します。可能であれば、一つの用例に対して、できるだけ多人数の記述を収集します。 | + | * テクストの読解を行い、修辞技法の焦点となる表現の効果を文章化して詳しく記述します。可能であれば、一つの用例に対して、できるだけ多人数の記述を収集します。 |
* レトリックの文献をもとに、効果の記述にあてはまる修辞学用語をひも付けます。これにより、アノテーションに修辞学的な分類をほどこし、体系化します。 | * レトリックの文献をもとに、効果の記述にあてはまる修辞学用語をひも付けます。これにより、アノテーションに修辞学的な分類をほどこし、体系化します。 | ||
==== 例 ==== | ==== 例 ==== | ||
- | 例えば[[ex:a1457]]では、次のような効果が感じられます。 | + | 例えば[[ex:a1457]]では、焦点となるのは「湧出し」という語で、次のような効果が感じられます。 |
* 水の湧出からイメージされる水量の多さを利用して、汗が止めどなく流れる様子を描写する。 | * 水の湧出からイメージされる水量の多さを利用して、汗が止めどなく流れる様子を描写する。 | ||
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* [[category:sympathy]]は他者に自己を投影したり、他者の感情について認識することです。 | * [[category:sympathy]]は他者に自己を投影したり、他者の感情について認識することです。 | ||
* [[category:apostrophe]]は演説などの途中で話し手が(あるいは、詩文などの途中で作者が)、説いてきたり語ってきた話題の中で感情の高まりあふれるあまり、その話題を中断し、神や第三者や物に対して呼びかけることです。 | * [[category:apostrophe]]は演説などの途中で話し手が(あるいは、詩文などの途中で作者が)、説いてきたり語ってきた話題の中で感情の高まりあふれるあまり、その話題を中断し、神や第三者や物に対して呼びかけることです。 | ||
+ | * [[category:nickname]]はある人に,本名のほかに親愛または嘲笑の気持をこめてつける別名のことです。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | === 人柄を表出する === | ||
+ | |||
+ | 言葉が、発信者の人柄や人物像を表出することがあります。 | ||
+ | |||
+ | * [[category:argument-of-authority]]は説得術における[[category:example]]の一種で、自分の意見の正しさを保障してくれるものとして、有名作家・学者・専門家など権威のある人の見解を持ち出して補強する論法です。 | ||
+ | * [[category:technical-term]]は特定の社会で人為的に作られた言語、主として語で、特に、職業や専門を同じくする人の間に使われるものです。 | ||
+ | * [[category:slang]]は話しことばに新しく用いられるようになった新しい語詞・語句・慣用的な表現などのうち、改まった場席で用いられないものです。 | ||
+ | * [[category:sondaigo]]は自分や自分の側の人物やその動作を高く扱うものです。 | ||
+ | |||
=== 強調する === | === 強調する === | ||
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* [[category:auxesis]]は事実や認識を極端に拡大して述べる[[category:hyperbole]]です。 | * [[category:auxesis]]は事実や認識を極端に拡大して述べる[[category:hyperbole]]です。 | ||
* [[category:litotes]]は事物を控え目に言い、かえって表現を効果的にする言い方です。 | * [[category:litotes]]は事物を控え目に言い、かえって表現を効果的にする言い方です。 | ||
- | |||
- | === 信頼性を表出する === | ||
- | |||
- | 言葉が、発信者の人柄や個性を表出することがあります。 | ||
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- | * [[category:argument-of-authority]]は説得術における[[category:example]]の一種で、自分の意見の正しさを保障してくれるものとして、有名作家・学者・専門家など権威のある人の見解を持ち出して補強する論法です。 | ||
- | * [[category:technical-term]]は特定の社会で人為的に作られた言語、主として語で、特に、職業や専門を同じくする人の間に使われるものです。 | ||
- | * [[category:slang]]は話しことばに新しく用いられるようになった新しい語詞・語句・慣用的な表現などのうち、改まった場席で用いられないものです。 | ||
- | * [[category:sondaigo]]は自分や自分の側の人物やその動作を高く扱うものです。 | ||
==== 対話的効果 ==== | ==== 対話的効果 ==== | ||
ライン 164: | ライン 163: | ||
対話的 (dialogic) な効果は、言語表現の受け手を焦点化します。 | 対話的 (dialogic) な効果は、言語表現の受け手を焦点化します。 | ||
- | 言語表現を効果的に用いると、表現を受け取る主体に影響を与えることができます。対話的効果は、説得力、配慮、期待などを暗示する修辞的効果です。 | + | 言語表現を効果的に用いると、表現を受け取る主体に影響を与えることができます。対話的効果は、含意、説得力、配慮などを示す修辞的効果です。 |
- | === あいまい性 === | ||
- | * [[category:amphibology]]は意味が曖昧になるよう,意図的に広義あるいは多義の表現を用いる修辞技法です。 | + | === 簡潔にする === |
- | * [[category:jugiho]]は一つの表現から複数の意味がくみとれるように表現形態を工夫する修辞技法です。 | + | |
- | + | ||
- | === 省略 === | + | |
+ | * [[category:ellipsis]]は文の意味があいまいにならない程度に語句をはぶいて、表現を簡潔にすることで、印象を深め、余韻を残す方法です。 | ||
* [[category:shohitsu]]はものごとを隅ずみまで述べず,簡潔にすっきりと言語化する修辞技法です。 | * [[category:shohitsu]]はものごとを隅ずみまで述べず,簡潔にすっきりと言語化する修辞技法です。 | ||
- | * [[category:ellipsis]]は文の意味があいまいにならない程度に語句をはぶいて、表現を簡潔にすることで、印象を深め、余韻を残す方法です。 | ||
* [[category:clipping]]は長い言葉が縮(ちぢ)まってできたものです。 | * [[category:clipping]]は長い言葉が縮(ちぢ)まってできたものです。 | ||
- | === ほのめかし === | + | === ほのめかす === |
* [[category:periphrasis]]は簡潔な固有の言い方があるのにわざわざ回りくどい言い方をすることです。 | * [[category:periphrasis]]は簡潔な固有の言い方があるのにわざわざ回りくどい言い方をすることです。 | ||
- | * [[category:kenning]]は人間や事物を,その名称をさす名詞を用いる代わりに,複合語や名詞句で隠喩的に遠まわしに表現する修辞技法です。 | + | * [[category:kenning]]は人間や事物を、その名称をさす名詞を用いる代わりに,複合語や名詞句で隠喩的に遠まわしに表現する修辞技法です。 |
* [[category:implication]]はその意味内容から読者がさらに別のことを理解するようにうながす表現法です。 | * [[category:implication]]はその意味内容から読者がさらに別のことを理解するようにうながす表現法です。 | ||
- | * [[category:gokaiyudo]]は必要情報を故意に伏せて,誤った思い込みを誘う修辞技法です。 | + | * [[category:gokaiyudo]]は必要情報を故意に伏せて、誤った思い込みを誘う修辞技法です。 |
* [[category:suspense]]は元来は宙ぶらりん・どっちつかず・不安などを意味するが、筋の展開の上で、読者・観客を、この先どうなることかとの不安感・緊張感を保った状態に置くことです。 | * [[category:suspense]]は元来は宙ぶらりん・どっちつかず・不安などを意味するが、筋の展開の上で、読者・観客を、この先どうなることかとの不安感・緊張感を保った状態に置くことです。 | ||
* [[category:sokushaho]]は表現対象をその正面からでなく側面からとらえて述べる修辞技法です。 | * [[category:sokushaho]]は表現対象をその正面からでなく側面からとらえて述べる修辞技法です。 | ||
* [[category:bikaho]]は醜い対象を美しいものにとらえなおして遠まわしに表現する修辞技法です。 | * [[category:bikaho]]は醜い対象を美しいものにとらえなおして遠まわしに表現する修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:rhetorical-negation]]は望んでいることを逆に打ち消してみせることで,その真意を察知させる修辞技法です。 | ||
- | === 驚き === | + | === 配慮する === |
+ | |||
+ | * [[category:euphemism]]は差しさわりのある直接的な表現をあたりさわりのない穏やかな表現に換えることです。 | ||
+ | * [[category:bikaho]]は醜い対象を美しいものにとらえなおして遠まわしに表現する修辞技法です。 | ||
+ | |||
+ | === あいまいにする === | ||
+ | |||
+ | * [[category:amphibology]]は意味が曖昧になるよう、意図的に広義あるいは多義の表現を用いる修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:jugiho]]は一つの表現から複数の意味がくみとれるように表現形態を工夫する修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:syllepsis]]はひとつの語に字義的な意味と比喩的な意味とを同時にもたせることです。 | ||
+ | * [[category:homonymy]]は発音が全く同じで意味が異なることです。 | ||
+ | * [[category:antanaclasis]]は隣接した箇所で同一の言葉を違った意味で使うことです。 | ||
+ | * [[category:zeugma]]は統辞的ないしは意味論的要請から、お互いに異質な二つ(以上)の要素を結び合わせることです。 | ||
+ | |||
+ | === 楽しませる === | ||
+ | |||
+ | [[category:humour]]は緊張をやわらげ、上品な笑いを誘う表現効果です。 | ||
+ | |||
+ | * [[category:wordplay]]は音声言語であれ文字言語であれ,言語本来の機能である伝達を目的とするのではなく,楽しみやゲームの材料や手段として言語を用いて,おもしろさやおかしさを求めることです。 | ||
+ | * [[category:jinazo]]は漢字本来の意味とは関係なく文字構成を分解して、別の意味に読み替えるような文字遊びです。 | ||
+ | * [[category:malapropism]]は語(句)のこっけいな誤用のことです。 | ||
+ | * [[category:pleonasm]]は主として滑稽感を出すため,論理的には不必要な過剰表現をことさらくどく付け加える修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:dajare]]は一つの音構成に複数の意味をもたせる目的で,情報伝達としては無意味なことばを添える修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:dysphemism]]は好ましいこと,あるいは不偏的なことを,不快感・非難軽蔑・ユーモアなど含む偏見をおびたことばで表現するものです。 | ||
+ | |||
+ | === 驚かせる === | ||
* [[category:kisenho]]はまず結論を突きつけて人を驚かせ、その後でおもむろに説明(根拠)を示す文彩です。 | * [[category:kisenho]]はまず結論を突きつけて人を驚かせ、その後でおもむろに説明(根拠)を示す文彩です。 | ||
- | * [[category:rhetorical-negation]]は望んでいることを逆に打ち消してみせることで,その真意を察知させる修辞技法です。 | + | * [[category:alienation]]は慣習となっている既成の表現法から逸脱した手法をあえて採用することにより、読者や観客・聴衆に規範や標準からのずれを意識させ、相手の注意を喚起して印象を深める手法です。 |
- | * [[category:shuku]]は文章中で他から際立って見える,この一句,この一文といった,はっとするような表現を折り込んで,鮮やかな印象をあたえる修辞技法です。 | + | * [[category:conceit]]は常識では考えられない奇抜なアイディアによる機知に富んだ表現を駆使する修辞技法です。 |
+ | * [[category:shuku]]は文章中で他から際立って見える、この一句、この一文といった、はっとするような表現を折り込んで,鮮やかな印象をあたえる修辞技法です。 | ||
* [[category:oxymoron]]は常識的には結合不可能と見なされている語どうしを結びつけることです。 | * [[category:oxymoron]]は常識的には結合不可能と見なされている語どうしを結びつけることです。 | ||
- | * [[category:paradox]]は一見すると真理に反することを言うようで,実際は真理を示唆する言述です。 | + | * [[category:paradox]]は一見すると真理に反することを言うようで、実際は真理を示唆する言述です。 |
- | * [[category:variation]]は語句前後,用語転換,長短参差(しんし),諸体交用などによって,文章の表現面に変化をつける修辞技法です。 | + | |
- | 言語表現は通常、何らかの価値判断を明示的に、ないしは暗黙のうちに示している。評価・印象系のレトリックは、ある表現に慣習的に結びついている評価や印象のコノテーションに反して、その表現に別の評価や印象の意味合いを込める。 | + | === 説得する === |
- | === 説得力 === | + | [[category:persuasion]]は言語や記号行為によって他者の意志決定に影響を与えるプロセスです。 |
- | * [[category:persuasion]]は言語や記号行為によって他者の意志決定に影響を与えるプロセスです。 | + | * [[category:interrogation]]は不在の人物や超越存在、事物に疑問を投げかけたり、聞き手(読み手)に問いかけたりすることです。 |
- | * [[category:interrogation]]は不在の人物や超越存在、事物に疑問を投げかけたり、聞き手=読み手に問いかけたりすることです。 | + | |
* [[category:synchoresis]]は反論(矛盾)あるいは罠に先立つところの、敵対者に対してなされる見せかけだけの譲歩です。 | * [[category:synchoresis]]は反論(矛盾)あるいは罠に先立つところの、敵対者に対してなされる見せかけだけの譲歩です。 | ||
* [[category:gokaiyudo]]は必要情報を故意に伏せて,誤った思い込みを誘う修辞技法です。 | * [[category:gokaiyudo]]は必要情報を故意に伏せて,誤った思い込みを誘う修辞技法です。 | ||
- | * [[category:direct-narration]]は被伝達部(reported speech)を被伝達者のことばどおりに伝える方法です。 | ||
* [[category:preterition]]は言わない、あるいは言えないと主張しておきながらその実しっかりと(ちゃっかりと)言うことです。 | * [[category:preterition]]は言わない、あるいは言えないと主張しておきながらその実しっかりと(ちゃっかりと)言うことです。 | ||
* [[category:definition]]は物事を短く説明することです。 | * [[category:definition]]は物事を短く説明することです。 | ||
ライン 211: | ライン 230: | ||
* [[category:dilemma]]は命題を二つ立てて、どちらになってもよいように構成する論法です。 | * [[category:dilemma]]は命題を二つ立てて、どちらになってもよいように構成する論法です。 | ||
+ | === 攻撃する === | ||
- | === ポライトネス === | ||
- | |||
- | * [[category:euphemism]]は差しさわりのある直接的な表現をあたりさわりのない穏やかな表現に換えることです。 | ||
- | * [[category:bikaho]]は醜い対象を美しいものにとらえなおして遠まわしに表現する修辞技法です。 | ||
- | |||
- | 相手への評価を伝える修辞的効果としては、以下のようなものがあります。 | ||
- | |||
- | * [[category:nickname]]はある人に,本名のほかに親愛または嘲笑の気持をこめてつける別名のことです。 | ||
- | |||
- | === インポライトネス === | ||
- | |||
- | 相手への否定的な態度を示す効果にかかわる修辞技法は数多くあります。 | ||
- | |||
- | * [[category:asteismus]]は相手のことばじりをとらえて,その意味を反語化するように,機知に富んだ応酬を示す修辞技法です。 | ||
- | * [[category:innuendo]]はその対象となるべき人物の性格,能力,その他の特徴を遠回しにそれとなくけなす修辞表現法です。 | ||
* [[category:irony]]は陽気な、あるいは深刻なからかいによって、自分が思っていること、あるいは人に思わせようと欲していることの反対を言うことです。 | * [[category:irony]]は陽気な、あるいは深刻なからかいによって、自分が思っていること、あるいは人に思わせようと欲していることの反対を言うことです。 | ||
+ | * [[category:asteismus]]は相手のことばじりをとらえて、その意味を反語化するように、機知に富んだ応酬を示す修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:innuendo]]はその対象となるべき人物の性格、能力、その他の特徴を遠回しにそれとなくけなす修辞表現法です。 | ||
* [[category:charientismus]]は装われた好意の隠蓑の下で批判を行う反語です。 | * [[category:charientismus]]は装われた好意の隠蓑の下で批判を行う反語です。 | ||
- | * [[category:sondaigo]]は自分や自分の側の人物やその動作を高く扱うものです。 | ||
- | * [[category:vulgarism]]は無教育な階層に行なわれる卑俗な言語的特徴です。 | ||
- | * [[category:dysphemism]]は好ましいこと,あるいは不偏的なことを,不快感・非難軽蔑・ユーモアなど含む偏見をおびたことばで表現するものです。 | ||
- | === ユーモア === | ||
- | |||
- | * [[category:humour]]は緊張をやわらげ、上品な笑いを誘う表現効果です。 | ||
==== 交感的効果 ==== | ==== 交感的効果 ==== | ||
ライン 242: | ライン 243: | ||
表現内容の伝達よりも、その伝達を可能としている言語的コミュニケーションの場に何らかの影響を与える効果が、交感的効果です。 | 表現内容の伝達よりも、その伝達を可能としている言語的コミュニケーションの場に何らかの影響を与える効果が、交感的効果です。 | ||
- | |||
- | * [[category:stichomythia]]は2人の人物が通例1行ずつの詩で交互に対話していく形式です。 | ||
- | |||
- | 意味を適切に伝えたければ、原則として、過不足のない量の言語表現を用いなければならない。しかし、通常よりも明らかに形式的な反復や意味的な冗長性が多い表現がある。反復・冗長系のレトリックは、表現の余情性によって、適量の表現にはない効果を生み出す。 | ||
- | |||
- | 何らかの点で、必ずしも言わなくてもよいと思われる内容を付け加えていると感じられる表現がある。 | ||
==== メタ言語的効果 ==== | ==== メタ言語的効果 ==== | ||
ライン 255: | ライン 250: | ||
慣習的な語法を知っているからこそ、それがレトリックであると感じられる表現は数多くあります。文法体系や語形式を意識したり、慣習的な記号関係のあり方自体に注意を向ける効果が、メタ言語的効果です。 | 慣習的な語法を知っているからこそ、それがレトリックであると感じられる表現は数多くあります。文法体系や語形式を意識したり、慣習的な記号関係のあり方自体に注意を向ける効果が、メタ言語的効果です。 | ||
- | * [[category:metalanguage]]は何らかの理由で発話に注意を引くために言語を用いることです。 | + | [[category:metalanguage]]は何らかの理由で言語表現に注意を引くために用いられる言語を言います。 |
- | 言語は、現実世界や想像世界の存在について語る手段である。この通常の使用法に対して、メタ語法系のレトリックは、言語を用いて言語について語る。 | + | === 音韻への注目 === |
- | + | ||
- | 日本語の主な語形成のパターンとして、転換、派生、複合が挙げられる。これらのよくみられる文法構造が、新奇的な語を作っていると感じられるとき、語形成のレトリックとしての修辞性が認められる。 | + | |
- | + | ||
- | 叙述構造には、項構造と格、ヴォイス、テンス、アスペクト、モダリティなど、さまざまな文法カテゴリーが関与する。それぞれの文法の形式が、慣習語法にはない新しい使い方をされるときは、そこには修辞性が感じられる。 | + | |
- | + | ||
- | 修飾構造では基本的に、修飾部が表す概念によって、被修飾部が表す概念が意味的に限定される。しかし、これにあてはまらない修飾構造の事例がある。 | + | |
- | + | ||
- | === 音韻論 === | + | |
* [[category:jingle]]は同音または類似語のくり返しによって調子よく響くように配列したことばや詩です。 | * [[category:jingle]]は同音または類似語のくり返しによって調子よく響くように配列したことばや詩です。 | ||
* [[category:rhythm]]は一定の拍数の句やその組み合わせを規則的にくりかえす修辞技法です。 | * [[category:rhythm]]は一定の拍数の句やその組み合わせを規則的にくりかえす修辞技法です。 | ||
+ | * [[category:homonymy]]は発音が全く同じで意味が異なることです。 | ||
- | + | === 文字への注目 === | |
- | === 文字論 === | + | |
* [[category:jinazo]]は漢字本来の意味とは関係なく文字構成を分解して、別の意味に読み替えるような文字遊びです。 | * [[category:jinazo]]は漢字本来の意味とは関係なく文字構成を分解して、別の意味に読み替えるような文字遊びです。 | ||
* [[category:metagraph]]は規範とされる正書法を意図的に破って修辞的効果を高める手法です。 | * [[category:metagraph]]は規範とされる正書法を意図的に破って修辞的効果を高める手法です。 | ||
- | === 形態論 === | + | === 語構成への注目 === |
* [[category:back-formation]]は本来なかった派生や転成の関係を考えて、もとになったと思われる語をつくりだすことです。 | * [[category:back-formation]]は本来なかった派生や転成の関係を考えて、もとになったと思われる語をつくりだすことです。 | ||
- | * [[category:blending]]は2個の音,語句または構文が混同合成されて,新しい音,語句または構文を生み出すことです。 | + | * [[category:blending]]は2個の音,語句または構文が混同合成されて、新しい音、語句または構文を生み出すことです。 |
- | * [[category:dead-metaphor]]は使い古される間に比喩性が薄れて慣用句のように固定化し,比喩起源であることがほとんど意識にのぼらなくなった段階の隠喩です。 | + | |
- | * [[category:catachresis]]は名称を欠いている事物を表意するために用いられた転義的文彩です。 | + | |
* [[category:neology]]は新しい語彙単位の形成過程です。 | * [[category:neology]]は新しい語彙単位の形成過程です。 | ||
* [[category:clipping]]は長い言葉が縮まってできたものです。 | * [[category:clipping]]は長い言葉が縮まってできたものです。 | ||
ライン 288: | ライン 273: | ||
* [[category:compound]]は二つ(以上)の語または語基、連結形の合成結合によってできた語です。 | * [[category:compound]]は二つ(以上)の語または語基、連結形の合成結合によってできた語です。 | ||
* [[category:mojiri]]はもとの音を少しよじり歪めて、それらしく聞かせる技巧です。 | * [[category:mojiri]]はもとの音を少しよじり歪めて、それらしく聞かせる技巧です。 | ||
- | * [[category:nonce-word]]は語本来の用法に従うのではなく,表現の揚に臨時的に適合するように用いた(または形成した)語です。 | + | * [[category:nonce-word]]は語本来の用法に従うのではなく、表現の揚に臨時的に適合するように用いた(または形成した)語です。 |
- | === 統語論 === | + | === 文構造への注目 === |
- | * [[category:idiom]]は語句の結びつきが習慣的であり、特殊な語感や意味内容をもっているものです。 | + | * [[category:idiom]]は語句の結びつきが慣習的であり、特殊な語感や意味内容をもっているものです。 |
- | * [[category:solecism]]はある言語(口語・文語を問わず)の慣用法または文法規則に関し,標準的用法に違反することです。 | + | * [[category:solecism]]はある言語の慣用法または文法規則に関し、標準的用法に違反することです。 |
* [[category:synesis]]は形態的な一致よりもむしろ意味を重視した構文です。 | * [[category:synesis]]は形態的な一致よりもむしろ意味を重視した構文です。 | ||
* [[category:malapropism]]は語(句)のこっけいな誤用のことです。 | * [[category:malapropism]]は語(句)のこっけいな誤用のことです。 | ||
ライン 302: | ライン 287: | ||
- | === 意味論 === | + | === 意味への注目 === |
- | 以下の効果は、表現の意味の慣習性に関連しています。 | + | ある語句がどんな意味であるか、メタ的に意識させる表現があります。 |
* [[category:engo]]は主想となる語と意味的に関連のある語を意図的に詠い込むことです。 | * [[category:engo]]は主想となる語と意味的に関連のある語を意図的に詠い込むことです。 | ||
* [[category:pleonasm]]は主として滑稽感を出すため,論理的には不必要な過剰表現をことさらくどく付け加える修辞技法です。 | * [[category:pleonasm]]は主として滑稽感を出すため,論理的には不必要な過剰表現をことさらくどく付け加える修辞技法です。 | ||
- | * [[category:homonymy]]は発音が全く同じで意味が異なることです。 | ||
* [[category:tautology]]は「AはA」のように主語と述部に同じ言葉を繰り返す文彩です。 | * [[category:tautology]]は「AはA」のように主語と述部に同じ言葉を繰り返す文彩です。 | ||
+ | * [[category:dead-metaphor]]は使い古される間に比喩性が薄れて慣用句のように固定化し,比喩起源であることがほとんど意識にのぼらなくなった段階の隠喩です。 | ||
+ | * [[category:catachresis]]は名称を欠いている事物を表意するために用いられた転義的文彩です。 | ||
* [[category:definition]]は物事を短く説明することです。 | * [[category:definition]]は物事を短く説明することです。 | ||
* [[category:antonym]]は意味的に反対関係にある二つ(以上)の語です。 | * [[category:antonym]]は意味的に反対関係にある二つ(以上)の語です。 | ||
* [[category:antonomasia]]は同類一般を表す名辞の代わりに固有名を用いること、あるいは逆に、固有名の代わりに同類一般を表す名辞を用いることです。 | * [[category:antonomasia]]は同類一般を表す名辞の代わりに固有名を用いること、あるいは逆に、固有名の代わりに同類一般を表す名辞を用いることです。 | ||
- | + | === 文体への注目 === | |
- | === 文体論 === | + | |
* [[category:archaism]]は今日ではふつう用いない古い単語・語法・文体です。 | * [[category:archaism]]は今日ではふつう用いない古い単語・語法・文体です。 | ||
ライン 322: | ライン 307: | ||
* [[category:slang]]は話しことばに新しく用いられるようになった新しい語詞・語句・慣用的な表現などのうち、改まった場席で用いられないものです。 | * [[category:slang]]は話しことばに新しく用いられるようになった新しい語詞・語句・慣用的な表現などのうち、改まった場席で用いられないものです。 | ||
* [[category:vulgarism]]は無教育な階層に行なわれる卑俗な言語的特徴です。 | * [[category:vulgarism]]は無教育な階層に行なわれる卑俗な言語的特徴です。 | ||
- | * [[category:variation]]は語句前後,用語転換,長短参差(しんし),諸体交用などによって,文章の表現面に変化をつける修辞技法です。 | + | * [[category:variation]]は語句前後、用語転換、長短参差(しんし)、諸体交用などによって、文章の表現面に変化をつける修辞技法です。 |
* [[category:literary-language]]は口頭で話す話し言葉に対する文章語です。 | * [[category:literary-language]]は口頭で話す話し言葉に対する文章語です。 | ||
* [[category:buntairakusa]]は表現様式の形態と内容とのギャップをことさら目立たせる修辞技法です。 | * [[category:buntairakusa]]は表現様式の形態と内容とのギャップをことさら目立たせる修辞技法です。 | ||
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* [[category:vogue-word]]は新語の一種で、その時代に適応した用語です。 | * [[category:vogue-word]]は新語の一種で、その時代に適応した用語です。 | ||
+ | === 談話・テクストへの注目 === | ||
- | === 談話・テクスト論 === | + | テクストに言及するテクストは、談話に言及する談話は、間テクスト性をもちます。 |
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- | 以下の効果は、テクストに言及するテクスト、つまり間テクスト性をもつテクストに関係します。引用のレトリックは、既に確立され慣習化された表現について、それを引き合いに出すことで、もう一度再利用する。既に確立された表現に、注釈を付け加えることで新たな意味づけを与えることができる。また、既存の表現の一部を変形して拡張することで、新たな表現を生み出していくこともできる。 | + | |
* [[category:allusion]]は著名な原表現をそのまま引用するのではなく、それを連想する契機となるような言語表現を用意することにより、表面上の意味がひととおり通るようにしながら、同時にその裏に別の映像をフラッシュのように流す修辞技法です。 | * [[category:allusion]]は著名な原表現をそのまま引用するのではなく、それを連想する契機となるような言語表現を用意することにより、表面上の意味がひととおり通るようにしながら、同時にその裏に別の映像をフラッシュのように流す修辞技法です。 | ||
- | * [[category:quotation]]は表現効果を高めるために,世人によく知られた文句や著名な作品の文句を,それとなく取り入れて表現する修辞法です。 | + | * [[category:quotation]]は表現効果を高めるために、世人によく知られた文句や著名な作品の文句を、それとなく取り入れて表現する修辞法です。 |
* [[category:crossing]]は既成のことわざを踏まえながら、その一部を差し換えることによって、その論理をひっくりかえす手法です。 | * [[category:crossing]]は既成のことわざを踏まえながら、その一部を差し換えることによって、その論理をひっくりかえす手法です。 | ||
- | * [[category:direct-narration]]は被伝達部(reported speech)を被伝達者のことばどおりに伝える方法です。 | + | * [[category:direct-narration]]は被伝達部を被伝達者のことばどおりに伝える方法です。 |
- | * [[category:indirect-speech]]は被伝達部(reported speech)を伝達者のことばに直して伝える方法です。 | + | * [[category:indirect-speech]]は被伝達部を伝達者のことばに直して伝える方法です。 |
- | * [[category:apostrophe]]は演説などの途中で話し手が,また,詩文などの途中で作者が,説いてきたり語ってきた話題の中で感情の高まりあふれるあまり、その話題を中断し、神や第三者や物に対して呼びかけることです。 | + | * [[category:apostrophe]]は演説などの途中で話し手が、また、詩文などの途中で作者が、説いてきたり語ってきた話題の中で感情の高まりあふれるあまり、その話題を中断し、神や第三者や物に対して呼びかけることです。 |
+ | * [[category:stichomythia]]は2人の人物が通例1行ずつの詩で交互に対話していく形式です。 | ||
==== 詩的効果 ==== | ==== 詩的効果 ==== | ||
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表現形式の等価性(ないしは反復)を前景化すると、意味ではなく、形式の価値を引き出すことができます。表現の形式の価値を引き出すのが詩的効果です。 | 表現形式の等価性(ないしは反復)を前景化すると、意味ではなく、形式の価値を引き出すことができます。表現の形式の価値を引き出すのが詩的効果です。 | ||
- | === 類像性 === | ||
- | 言語記号は、通常その形式の音韻的性質とは無関係な概念内容を表す。つまり、原則として言語記号は、形式と意味が恣意的に結合する。 | + | === 反復 === |
- | * [[category:iconicity]]はある発話の意味論的(「内容」)レベルと統語論的(「形式」)レベルの間の調和です。 | + | [[category:repetition]]は表現効果を高めるために、同一または類似の語句またはその一部を繰り返す修辞法の総称です。 |
- | * [[category:sound-symbolism]]はその語の意味と何らかのつながりがあると感じられる音です。 | + | |
- | * [[category:onomatoeia]]はオノマトペを用いて感覚的に伝達する表現法です。 | + | |
- | + | ||
- | === 反復 === | + | |
- | * [[category:repetition]]は表現効果を高めるために,同一または類似の語句またはその一部を繰り返す修辞法の総称です。 | + | * [[category:rhyme]]は詩句や詩行の終わりあるいは始まりに、同じ音をもつ語を配置し、そのくり返しによるリズムの効果とともに、同音に喚起される連想効果をもたらそうとする技法です。 |
- | * [[category:rhyme]]は詩句や詩行の終わりあるいは始まりに,同じ音をもつ語を配置し,そのくり返しによるリズムの効果とともに,同音に喚起される連想効果をもたらそうとする技法です。 | + | |
* [[category:end-rhyme]]は句や文の末尾を同じ音でそろえる修辞技法です。 | * [[category:end-rhyme]]は句や文の末尾を同じ音でそろえる修辞技法です。 | ||
* [[category:rhythm]]は一定の拍数の句やその組み合わせを規則的にくりかえす修辞技法です。 | * [[category:rhythm]]は一定の拍数の句やその組み合わせを規則的にくりかえす修辞技法です。 | ||
- | * [[category:epanados]]はすぐに反復せず,しばらく間を空けて前の語句をくりかえす修辞技法です。 | + | * [[category:epanados]]はすぐに反復せず、しばらく間を空けて前の語句をくりかえす修辞技法です。 |
- | * [[category:epanalepsis]]は同一の語句を連続的に用いるなど,文章中の一定箇所に同じことばをちりばめる修辞技法です。 | + | * [[category:epanalepsis]]は同一の語句を連続的に用いるなど、文章中の一定箇所に同じことばをちりばめる修辞技法です。 |
* [[category:diacope]]は同一の行または文の中で同じことばをくりかえして強調効果をはかる修辞技法です。 | * [[category:diacope]]は同一の行または文の中で同じことばをくりかえして強調効果をはかる修辞技法です。 | ||
- | * [[category:epistrophe]]は強調などの表現効果を挙げるために,前の文(または節・句)の最後の語句を次の文(または節・句)の終わりで繰り返す修辞法です。 | ||
* [[category:epizeuxis]]は同じ語句を繰り返すことによって強調性を高める修辞法です。 | * [[category:epizeuxis]]は同じ語句を繰り返すことによって強調性を高める修辞法です。 | ||
+ | * [[category:epistrophe]]は強調などの表現効果を挙げるために、前の文(または節・句)の最後の語句を次の文(または節・句)の終わりで繰り返す修辞法です。 | ||
* [[category:jingle]]は同音または類似語のくり返しによって調子よく響くように配列したことばや詩です。 | * [[category:jingle]]は同音または類似語のくり返しによって調子よく響くように配列したことばや詩です。 | ||
* [[category:tautology]]は「AはA」のように主語と述部に同じ言葉を繰り返す文彩です。 | * [[category:tautology]]は「AはA」のように主語と述部に同じ言葉を繰り返す文彩です。 | ||
* [[category:ploce]]は同族目的文を用いる形で同語をくりかえす修辞技法です。 | * [[category:ploce]]は同族目的文を用いる形で同語をくりかえす修辞技法です。 | ||
* [[category:polyptoton]]は同一文章内で同じ語を屈折変化させて反復する修辞法です。 | * [[category:polyptoton]]は同一文章内で同じ語を屈折変化させて反復する修辞法です。 | ||
- | * [[category:paronomasia]]は音の同じ語や類似した語を重ねて用い,意味の荘重さ・対照的なおもしろ味・意外さなどの効果を狙う修辞法です。 | + | * [[category:paronomasia]]は音の同じ語や類似した語を重ねて用い、意味の荘重さ・対照的なおもしろ味・意外さなどの効果を狙う修辞法です。 |
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+ | [[category:iconicity]]はある発話の意味論的(「内容」)レベルと統語論的(「形式」)レベルの間の調和です。 | ||
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+ | * [[category:sound-symbolism]]はその語の意味と何らかのつながりがあると感じられる音です。 | ||
+ | * [[category:onomatoeia]]はオノマトペを用いて感覚的に伝達する表現法です。 | ||
+ | * [[category:epizeuxis]]は同じ語句を繰り返すことによって強調性を高める修辞法です。 | ||
+ | * [[category:diacope]]は同一の行または文の中で同じことばをくりかえして強調効果をはかる修辞技法です。 | ||
=== ことば遊び === | === ことば遊び === | ||
- | ことば遊び系のレトリックは、意味のあることを表現すべしという、基本的なコミュニケーションの原則から外れている。フランス語のことば遊びを体系的に探求したGuiraudo (1976) は、ことば遊びを、二つ(あるいはいくつもの)意味を表す文を使っている表現と規定している。このコーパスでは、[[category:wordplay-w]]という用語を、Guiraudoの広い意味で用いる。 | + | [[category:wordplay]]は音声言語であれ文字言語であれ、言語本来の機能である伝達を目的とするのではなく、楽しみやゲームの材料や手段として言語を用いて、おもしろさやおかしさを求めることです。 |
- | * [[category:wordplay]]は音声言語であれ文字言語であれ,言語本来の機能である伝達を目的とするのではなく,楽しみやゲームの材料や手段として言語を用いて,おもしろさやおかしさを求めることです。 | + | ことば遊びは、意味を背景化し、形式を前景化します。 |
- | * [[category:pun]]は同一の語を異なった意味に用いたり,同音(または類似の音)異義語を掛けて用いる言葉遊びです。 | + | |
+ | * [[category:pun]]は同一の語を異なった意味に用いたり、同音(または類似の音)異義語を掛けて用いる言葉遊びです。 | ||
* [[category:jinazo]]は漢字本来の意味とは関係なく文字構成を分解して、別の意味に読み替えるような文字遊びです。 | * [[category:jinazo]]は漢字本来の意味とは関係なく文字構成を分解して、別の意味に読み替えるような文字遊びです。 | ||
* [[category:malapropism]]は語(句)のこっけいな誤用のことです。 | * [[category:malapropism]]は語(句)のこっけいな誤用のことです。 | ||
- | * [[category:expletive]]は主として韻律をととのえるため,実質的な意味の稀薄な形式的な語句を付加する修辞技法です。 | + | * [[category:expletive]]は主として韻律をととのえるため、実質的な意味の稀薄な形式的な語句を付加する修辞技法です。 |
* [[category:punctuation]]は口調がよくなるように句読点の位置を操作する修辞技法です。 | * [[category:punctuation]]は口調がよくなるように句読点の位置を操作する修辞技法です。 | ||
- | * [[category:pleonasm]]は主として滑稽感を出すため,論理的には不必要な過剰表現をことさらくどく付け加える修辞技法です。 | + | * [[category:pleonasm]]は主として滑稽感を出すため、論理的には不必要な過剰表現をことさらくどく付け加える修辞技法です。 |
- | * [[category:dajare]]は一つの音構成に複数の意味をもたせる目的で,情報伝達としては無意味なことばを添える修辞技法です。 | + | * [[category:dajare]]は一つの音構成に複数の意味をもたせる目的で、情報伝達としては無意味なことばを添える修辞技法です。 |
* [[category:mojiri]]はもとの音を少しよじり歪めて、それらしく聞かせる技巧です。 | * [[category:mojiri]]はもとの音を少しよじり歪めて、それらしく聞かせる技巧です。 | ||
- | * [[category:paronomasia]]は音の同じ語や類似した語を重ねて用い,意味の荘重さ・対照的なおもしろ味・意外さなどの効果を狙う修辞法です。 | + | * [[category:paronomasia]]は音の同じ語や類似した語を重ねて用い、意味の荘重さ・対照的なおもしろ味・意外さなどの効果を狙う修辞法です。 |
- | === 重義性 === | ||
- | 一つの表現に、二つの意味が意識されるのは、ことば遊びに限ったことではない。例えば、修辞性の高い比喩は、文字通りの意味と、比喩的な意味の両方が感じられる。しかし、ことば遊びでは、二つの意味が同時に現れる。二つの意味を同時に伝える、二つの異なるコンテクストが混在していることが、二重の意味を表すことば遊びの特徴である。 | ||
- | |||
- | * [[category:zeugma]]は統辞的ないしは意味論的要請から、お互いに異質な二つ(以上)の要素を結び合わせることです。 | ||
- | * [[category:syllepsis]]はひとつの語に字義的な意味と比喩的な意味とを同時にもたせることです。 | ||
- | * [[category:jugiho]]は一つの表現から複数の意味がくみとれるように表現形態を工夫する修辞技法です。 | ||
- | * [[category:homonymy]]は発音が全く同じで意味が異なることです。 | ||
- | * [[category:antanaclasis]]は隣接した箇所で同一の言葉を違った意味で使うことです。 | ||
===== アノテーション結果 ===== | ===== アノテーション結果 ===== |
最終更新: 2024/02/10 18:46