ex:a2317

「色蒼ざめて戦くばかり」

「色蒼ざめて戦くばかり」

Page Type Example
Example ID a2317
Author 中島敦
Piece 「盈虚」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 272

Text

次の朝、色を作(な)した太子疾が白刃を提げた五人の壮士を従えて父の居間へ闖入(ちんにゅう)する。太子の無礼を叱咤(しった)するどころではなく、荘公は唯色蒼ざめて戦(おのの)くばかりである。太子は従者に運ばせた牡豚を殺して父に盟(ちか)わしめ、太子としての己の位置を保証させ、さて渾良夫の如き奸臣はたちどころに誅(ちゅう)すべしと迫る。あの男には三度迄死罪を免ずる約束がしてあるのだと公が言う。それでは、と太子は父を威すように念を押す。四度目の罪がある場合には間違いなく誅戮(ちゅうりく)なさるでしょうな。すっかり気を呑まれた荘公は唯々(いい)として『諾』と答えるほかは無い。

Context Focus Standard Context
色蒼ざめて (恐れて) 戦くばかり

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 青ざめる > 恐れる 紅潮する>恐れる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) あたかも肌の色そのものが青く変わったかのように表現することで、心情の変化に際立ちを与える。
心理描写 (psychological-description) 顔色という外面的な変化を描くことで、その変化の原因となるような心の動きの存在を示唆する。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)