ex:a1664

「ただあくせくした人間共の思考」

「ただあくせくした人間共の思考」

Page Type Example
Example ID a1664
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 262

Text

なまじいに人間らしい分別が、なぜ必要であろうか。白痴の心の素直さを彼自身も亦もつことが人間の恥辱であろうか。俺にもこの白痴のような心、幼い、そして素直な心が何より必要だったのだ。俺はそれをどこかへ忘れ、ただあくせくした人間共の思考の中でうすぎたなく汚れ、虚妄の影を追い、ひどく疲れていただけだ。

Context Focus Standard Context
あくせくした 人間 (人間性をもった人間) 共の思考

  • 同一ページに同じ表現がある。
  • 直前まで「伊沢」と三人称視点であったのが、ここで「俺」と一人称視点に切り替わる。(その後は「彼」となって三人称視点に戻る)抽象的な「人間」によって、人間性を前景化する。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人間 > 人間性 人間>人柄

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
評価 (evaluation) あくせくした思考をする人間について、劣悪な存在であるという評価が示されている。
心理描写 (psychological-description) 「俺」自身がどのような状態であったのかを、思考の様式に焦点を当てて描いている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)