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「石油成金の産地でもある」

「石油成金の産地でもある」

Page Type Example
Example ID a1584
Author 坂口安吾
Piece 「続堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 229

Text

私の生れ育った新潟市は石油の産地であり、したがって石油成金の産地でもあるが、私が小学校のころ、中野貫一という成金の一人が産をなして後も大いに倹約であり、停車場から人力車に乗ると値がなにがしか高いので万代橋という橋の袂まで歩いてきてそこで安い車を拾うという話を校長先生の訓辞に於て幾度となくきかされたものであった。

Context Focus Standard Context
石油成金の 産地 (多いところ)

  • 直前の「石油の産地」に絡めた表現。「したがって」による連接が、「の産地」という表現の反復を導いている。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 産地 = 出生地 居住地=地類
2 石油 > 成金 石油>金持ち

  • 「石油の産地」には成金がいるという換喩的な連想を介している。

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
転用語法 (enallage) 通常は自然物に対して用いる「産地」を石油成金に対して用いることで、石油成金が人ではなく自然の産物であるかのような印象を与える。
描写 (description) 石油に対する表現(「産地」)によって、石油成金の誕生が単純な因果関係のもとで描写されている。
イメジャリー・イメージ (imagery) 石油成金を石油と同等の自然物として表現することで、彼らの非人間性が示唆されている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)