ex:a1166

「恐怖の影をうすら寒く心の上にひろげる」

「恐怖の影をうすら寒く心の上にひろげる」

Page Type Example
Example ID a1166
Author 芥川龍之介
Piece 「枯野抄」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 305

Text

忘れもしない初時雨の日に、自ら好んだ梨の実さへ、師匠の食べられない容子を見て、心配さうに木節が首を傾けた、あの頃から安心は追々不安にまきこまれて、最後にはその不安さへ、今度死ぬのは自分かも知れないと云ふ険悪な恐怖の影を、うすら寒く心の上にひろげるやうになつたのである。

Context Focus Standard Context
恐怖の影を うすら寒く () 心の上にひろげる

  • 「初時雨」は冬の季語。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 恐怖を感じることを表す、「恐怖の影を心の上にひろげる」という行為の隠喩に対して、温度感覚の比喩によって形容することで、感情の物体性を際立たせている。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 恐怖を感じるという心理的経験を、温感と視覚の経験を表す語によって表現している。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)