「私の胸は切なさで破れないのが不思議であった」

「先生が紙をくばる。くばり終ると私は特に跫音（あしおと）高く道化た笑いを浮べて白紙の答案をだす。みんな笑う。私は英雄のような気取った様子でアバヨと外へ出て行くが、私の胸は切なさで破れないのが不思議であった。」

Context	Focus	Standard	Context
私の胸は	破れないのが不思議であった	（いっぱいだった）

	Category
1	誇張法 (hyperbole)
2	アナロジー・類推 (analogy)
3	擬物法・結晶法 (hypostatization)
4	心理描写 (psychological-description)
5	過大誇張 (auxesis)

	Source	Relation	Target	Pattern
1	破れる	>	切ない	破る>つらい

Construction
Mapping Type

Lexical Slots	Conceptual Domain

	Preceding	Morpheme	Following	Usage

Category	Effect
アナロジー・類推 (analogy)	胸を容器として感情を内容物として、感情の増大が容器である胸の容量を超えてしまい、破裂するというイメージを提示することで、そのような事態が発生してもおかしくないほど、当該人物が感じる切なさの感情が強いものであることを表す。
擬物法・結晶法 (hypostatization)	胸を容器として感情を内容物として物質的に表現している。
心理描写 (psychological-description)	胸を容器として感情を内容物として、感情の増大が容器である胸の容量を超えてしまい、破裂するというイメージを提示することで、そのような事態が発生してもおかしくないほど、当該人物が感じる切なさの感情が強いものであることを表す。胸の切なさに対する「私」の主観的認識が表現されている。
過大誇張 (auxesis)	身体の内部から物理的な圧力を加えて胸を張り裂いてしまいそうだと思えるほど、「私」が抱える切なさが非常に強い苦しみを与えていたことがわかる。