ex:a1089

「愛すべき怪物が、愛すべき王様が、すなわち紛れなくファルスである」

「愛すべき怪物が、愛すべき王様が、すなわち紛れなくファルスである」

Page Type Example
Example ID a1089
Author 坂口安吾
Piece 「FARCEに就て」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 56

Text

現実としての空想の——ここまでは紛れもなく現実であるが、ここから先へ一歩を踏み外せば本当の『意味無し(ナンセンス)』になるという、かような、喜びや悲しみや歎(なげ)きや夢や嚔(くしゃみ)やムニャムニャや、およそ有(あら)ゆる物の混沌の、およそ有ゆる物の矛盾の、それら全ての最頂天(パラロキシミテ)において、羽目を外して乱痴気(らんちき)騒ぎを演ずるところの愛すべき怪物が、愛すべき王様が、すなわち紛れなくファルスである。

Context Focus Standard Context
愛すべき () 怪物

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 愛すべき ←→ 恐ろしい 愛すべき<-->怖い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
撞着語法・対義結合・オクシモロン (oxymoron) 「愛すべき」が「怪物」という多くの場合忌み嫌われる対象にかかることで、特徴の対立や矛盾、及び「怪物」についての拡張的な認識を生み出している。
隔語句反復・畳点法 (epanalepsis) 「愛すべきX」のXとして、「怪物」と「王様」という性質の異なる二者を適用し、この構造を反復する。
含意法 (implication) ファルスでいう愛のふところの広さを暗示している。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)