ex:a0949

「保吉の覚えているのは薄明るい憂鬱ばかりである」

「保吉の覚えているのは薄明るい憂鬱ばかりである」

Page Type Example
Example ID a0949
Author 芥川龍之介
Piece 「お時儀」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 34

Text

彼はその問にどう答えたか、これもまた記憶には残っていない。ただ保吉の覚えているのは、いつか彼を襲い出した、薄明るい憂鬱ばかりである。彼はパイプから立ち昇る一すじの煙を見守ったまま、しばらくはこの憂鬱の中にお嬢さんのことばかり考えつづけた。

Context Focus Standard Context
薄明るい () 憂鬱

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 明るい = ぼんやり あやふや=明るい

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 彼の心の中にあるお嬢さんに対する微妙な心情を光の強さを通じて描いている。
撞着語法・対義結合・オクシモロン (oxymoron) 一般的に「憂鬱」と共に用いられるのは「暗い」の概念であるが、ここではあえてオクシモロンのように「明るい」を用いることで、お嬢さんに対する不安と微かな期待の交錯する心情が示唆されている。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)