ex:a0605

「山腹が間近く窓側に迫って来た」

「山腹が間近く窓側に迫って来た」

Page Type Example
Example ID a0605
Author 芥川龍之介
Piece 「蜜柑」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 22

Text

しかし汽車が今将に隧道の口へさしかかろうとしている事は、暮色の中に枯草ばかり明い両側の山腹が、間近く窓側に迫って来たのでも、すぐに合点の行く事であった。

Context Focus Standard Context
山腹が 迫って来た (近づいた)

  • 汽車が山に近づくことと、山が汽車に近づくことには対照性がある。いわゆるトラジェクターとランドマークの解釈を反転させている。

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
奇想 (conceit) 「迫って」いるのは、汽車に乗った語り手であるが、ここでは山が逆に近づいてきているように表現される。
風景描写 (scene-description) 山に近づいていることが汽車の窓から見える様子を表現する。
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 山が近づいているように表現することで、汽車の動きと山に近づく様子を動的に表現する。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)