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「田舎者でも退却は巧妙だ。クロパトキンより旨いくらいである」

「田舎者でも退却は巧妙だ。クロパトキンより旨いくらいである」

Page Type Example
Example ID a0216
Author 夏目漱石
Piece 「坊っちゃん」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 178

Text

今まで葛練(くずねり)の中で泳いでるように身動きも出来なかったのが、急に楽になったと思ったら、敵も味方も一度に引上げてしまった。田舎者でも退却は巧妙だ。クロパトキンより旨いくらいである。

Context Focus Standard Context
田舎者でも退却は巧妙だ。 クロパトキン () より旨い

  • アレクセイ・クロパトキン (Aleksei Kuropatkin) はロシアの将軍。プスコフ県の軍人の家庭に生まれ、陸軍大学を卒業(1874)。1898~1904年陸相、日露戦争が始まるや満州軍総司令官、ついで極東方面軍総司令官に任ぜられたが、奉天(現在の瀋陽(しんよう/シェンヤン))の会戦に敗れ、解任された。(「クロパトキン」『日本大百科全書』より)

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 将軍 > 敗北 将星>敗

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) ロシア将校クロパトキンを引き合いに出して、技術の高さを分かりやすく表現している。
当てこすり (innuendo) 文字通りには、ロシア将校を引き合いに出して技術を褒めているような表現であるが、「クロパトキン」は日露戦争のロシア敗走の象徴であり、退却のみじめさを皮肉に描写している。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)