ex:a0183

「怒りなどという感情はいじけた此の男の中から疾うに磨滅し去っていて」

「怒りなどという感情はいじけた此の男の中から疾うに磨滅し去っていて」

Page Type Example
Example ID a0183
Author 中島敦
Piece 「夫婦」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 225

Text

大嫉妬家のエビルに向って嫉妬するなどとは到底考えられぬことだし、怒りなどという感情はいじけた此の男の中から疾うに磨滅し去っていて今は少しの痕跡さえ見られない。

Context Focus Standard Context
怒りなどという感情は 摩滅し去っていて (なくなっていて)

Rhetoric
Semantics

Source Relation Target Pattern
1 摩滅する = なくなる なくなる=すり減る

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 硬い物体が周囲からの強い力を継続的に受けて徐々にすり減っていくイメージによって、当初ははっきりと抱いていた怒りの感情が、ゆっくりと、しかし着実に消えていったという印象を与える。
心理描写 (psychological-description) 摩耗のイメージをつうじて、男の心情のあり方が描かれている。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 精神的な経験が、物理的な運動をともなうものであるかのように感じられる。

最終更新: 2024/01/26 12:13 (外部編集)