category:allusion
暗示引用 (allusion)
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| ====== 暗示引用 (allusion) ====== | ====== 暗示引用 (allusion) ====== | ||
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| + | <!--METADATA--> | ||
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| + | ^ Page Type | Category | | ||
| ^ Category ID | allusion | | ^ Category ID | allusion | | ||
| - | ^ Superordiantes | [[category:allusion]] | | + | ^ Superordiantes | | |
| ^ Synonyms | 隠引法 | | ^ Synonyms | 隠引法 | | ||
| + | <!--/METADATA--> | ||
| + | <!--DEFINITON--> | ||
| ==Definition== | ==Definition== | ||
| ライン 18: | ライン 25: | ||
| - 聞き手や読み手はその表現が引用であることが分かるが、 | - 聞き手や読み手はその表現が引用であることが分かるが、 | ||
| - 話し手や書き手はそれが引用であるとは明記しない。 | - 話し手や書き手はそれが引用であるとは明記しない。 | ||
| + | <!--/DEFINITION--> | ||
| + | <!--SUBORDIANTE-CATEGORIES--> | ||
| ==Subordinate Categories== | ==Subordinate Categories== | ||
| {{topic>category:allusion +index:category}} | {{topic>category:allusion +index:category}} | ||
| + | <!--/SUBORDINATE-CATEGORIES--> | ||
| + | |||
| + | <!--FEATURES--> | ||
| ==Features== | ==Features== | ||
| ライン 49: | ライン 61: | ||
| つまり、暗示引用の「暗示」には次の2つの意味がある。第1に、引用していることを明示しないという意味、第2に、引用の典拠を明示しないという意味である。典型的な暗示引用は、この2つの両方の意味で暗示的である。 | つまり、暗示引用の「暗示」には次の2つの意味がある。第1に、引用していることを明示しないという意味、第2に、引用の典拠を明示しないという意味である。典型的な暗示引用は、この2つの両方の意味で暗示的である。 | ||
| + | <!--/FEATURES--> | ||
| + | <!--FUNCTIONS--> | ||
| ==Functions== | ==Functions== | ||
| ライン 75: | ライン 89: | ||
| 暗示引用は、この間テクスト性を十全に利用した文彩であり、他者の言葉が背景となって、自分の言葉の効果を高める表現法であると言える。 | 暗示引用は、この間テクスト性を十全に利用した文彩であり、他者の言葉が背景となって、自分の言葉の効果を高める表現法であると言える。 | ||
| + | <!--/FUNCTIONS--> | ||
| + | <!--HISTORY-AND-RELATED-TERMS--> | ||
| ==History and Related Terms== | ==History and Related Terms== | ||
| - | |||
| ===本歌取り=== | ===本歌取り=== | ||
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| さらに、ここでの引用法は「引用であることを明確に示したもの」であり、明示引用とも呼べるものであるが、明示引用と暗示引用の関係が、直喩と隠喩の関係と類似しているとされることがある。「引用であることを明言すれば直喩的になり、いわゆる隠引法のうち、文中に組みこまれたものは隠喩的、独立して置かれたものは諷喩的、というように、その引き方によって性質が違う。そして、引用の手つづき以外に言語表現形式上の特色がないので、直喩・隠喩・諷喩とは別に,それらと並ぶ比喩法の一種として立てる必然性は稀薄である」 (中村 1977) 。さらに、次のような指摘がある。「此の法は引用法を煎じ詰めたもので、二者の関係は隠喩対直喩の関係に似ている」 (速水 1988) 。 | さらに、ここでの引用法は「引用であることを明確に示したもの」であり、明示引用とも呼べるものであるが、明示引用と暗示引用の関係が、直喩と隠喩の関係と類似しているとされることがある。「引用であることを明言すれば直喩的になり、いわゆる隠引法のうち、文中に組みこまれたものは隠喩的、独立して置かれたものは諷喩的、というように、その引き方によって性質が違う。そして、引用の手つづき以外に言語表現形式上の特色がないので、直喩・隠喩・諷喩とは別に,それらと並ぶ比喩法の一種として立てる必然性は稀薄である」 (中村 1977) 。さらに、次のような指摘がある。「此の法は引用法を煎じ詰めたもので、二者の関係は隠喩対直喩の関係に似ている」 (速水 1988) 。 | ||
| - | * [[http://www.fukirhetoric.com/example/allusion3.html|『ふき出しのレトリック』で調べる]] | + | * [[https://www.fukirhetoric.com/example/allusion2.html|『ふき出しのレトリック』で調べる]] |
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| + | <!--/HISTORY-AND-RELATED-TERMS--> | ||
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| + | <!--EXAMPLES-IN-THE-LITERATURE--> | ||
| ==Examples in the Literature== | ==Examples in the Literature== | ||
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| * 古典の例で言えば、「羽をならべ枝をかはさむと契らせ給ひしに」という『源氏物語』の「桐壷」の巻の一節は、白居易の『長恨歌』の「句を下敷きにして、帝と桐壷の更衣との関係を、玄宗皇帝と楊貴妃との関係を背景にして描きだした。 (中村 2007) | * 古典の例で言えば、「羽をならべ枝をかはさむと契らせ給ひしに」という『源氏物語』の「桐壷」の巻の一節は、白居易の『長恨歌』の「句を下敷きにして、帝と桐壷の更衣との関係を、玄宗皇帝と楊貴妃との関係を背景にして描きだした。 (中村 2007) | ||
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| * 「一冊の手帳紛失を隠蔽するために、二十九冊の手帳を盗んだ」という動機が解明されるところで、わざわざ作者はチェスタトンの名を書きつける必要はないし、また出典を明記する義務もない。「賢い人間なら木の葉をどこに隠すか」という命題は、いわば知っていて当然の常識として暗示引用されているのだ。読者がそれを知っていれば「こういう応用の手があったのか」と楽しみが増えるし、また知らなくてもさしつかえない処理はほどこされている。 (野崎 2002) | * 「一冊の手帳紛失を隠蔽するために、二十九冊の手帳を盗んだ」という動機が解明されるところで、わざわざ作者はチェスタトンの名を書きつける必要はないし、また出典を明記する義務もない。「賢い人間なら木の葉をどこに隠すか」という命題は、いわば知っていて当然の常識として暗示引用されているのだ。読者がそれを知っていれば「こういう応用の手があったのか」と楽しみが増えるし、また知らなくてもさしつかえない処理はほどこされている。 (野崎 2002) | ||
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| + | <!--REFERENCES--> | ||
| == References == | == References == | ||
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| - 赤塚行雄 (編) 1992. 『修辞学ってなんだ!?―レトリック感覚で世の中を見直せば―』 ビジネス社. | - 赤塚行雄 (編) 1992. 『修辞学ってなんだ!?―レトリック感覚で世の中を見直せば―』 ビジネス社. | ||
| ライン 171: | ライン 195: | ||
| - オリヴィエ・ルブール. 2000. 『レトリック』 佐野泰雄訳. 白水社. | - オリヴィエ・ルブール. 2000. 『レトリック』 佐野泰雄訳. 白水社. | ||
| + | <!--/REFERENCES--> | ||
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| + | <!--EXAMPLES-IN-THE-CORPUS--> | ||
| == Examples in the Corpus == | == Examples in the Corpus == | ||
| ライン 176: | ライン 203: | ||
| {{topic>category:allusion +index:ex}} | {{topic>category:allusion +index:ex}} | ||
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| + | <!--TAGS--> | ||
| {{tag>index:category | {{tag>index:category | ||
| - | category:quotation | + | category:allusion |
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最終更新: 2024/01/18 11:29
