目次

「顔色がさっと紙のように白くなる」

Page Type Example
Example ID a2319
Author 中島敦
Piece 「盈虚」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 274

Text

それだけで丁度三件。太子は未だ我を殺すことは出来ぬ、と、必死にもがきながら良夫が叫ぶ。いや、まだある。忘れるなよ。先夜、汝は主君に何を言上したか? 君侯父子を離間しようとする佞臣奴!良夫の顔色がさっとの様に白くなる。之で汝の罪は四つだ。という言葉も終らぬ中に、良夫の頸はがっくり前に落ち、黒地に金で猛虎を刺繍した大緞帳に鮮血がさっと迸る。

Context Focus Standard Context

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 顔=紙

Grammar

Construction AがBのようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 紙の白色を想起させることで、顔面蒼白の程度を具体化する。
過大誇張 (auxesis) 紙ほど白くない人の顔色が紙と同じほどの白さになっていると表現することで、その程度を大袈裟に際立たせる。