目次

「自分は高みの舞台で一人滑稽な芸当を一生懸命やっているように見える」

Page Type Example
Example ID a2150
Author 梶井基次郎
Piece 「路上」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 229

Text

——途端自分は足を滑らした。片手を泥についてしまった。しかしまだ本気にはなっていなかった。起きあがろうとすると、力を入れた足がまたずるずる滑って行った。……誰かがどこかで見ていやしなかったかと、自分は眼の下の人家の方を見た。それらの人家から見れば、自分は高みの舞台で一人滑稽な芸当を一生懸命やっているように見えるにちがいなかった。

Context Focus Standard Context
高みの舞台で一人滑稽な芸当を一生懸命やっている 自分

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A 見える は-既出のものに関する判断の主題
2 B ように[見えるにちがいなかった] 様-類似-連用形
3 B [ように]見える[にちがいなかった] 判ずる・判じる(はんずる・はんじる)
4 B [ように見える]に[ちがいなかった] に-比較の基準
5 B [ように見えるに]ちがい[なかった] 違う(ちがう)
6 B [ように見えるにちがい]なかっ[た] ない-打消-連用形
7 B [ように見えるにちがいなかっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 転倒して置き上がろうとしてもなかなか起き上がれない様子について、第三者の目にはそれが一種のパフォーマンスに見えてしまう滑稽な様を芸のイメージを用いて表現する。
対照法・対照 (antithesis) 格式や厳かさを感じさせる「高みの舞台」とそのような特徴とは無縁の「滑稽な芸当」との間にコントラストを生む。
人物描写 (description of a character) 芸のイメージを喚起することで、第三者の目に映るであろう自分の姿を描いている。