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「この女はまるで俺の人形のようではないか」

Page Type Example
Example ID a1699
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 266

Text

二百円の悪霊すらも、この魂には宿ることができないのだ。この女はまるで俺のために造られた悲しい人形のようではないか。

Context Focus Standard Context
俺のために造られた悲しい人形 (この女)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人形 = 女=人形

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 まるで ようではないか ちょうど(ちょうど)
3 B の[ようではないか] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
4 B [の]ようで[はないか] 様-類似-連用形
5 B [のようで]は[ないか] は-接続詞の強調
6 B [のようでは]ない[か] ない(ない)
7 B [のようではない]か か-自問

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 自発的な行動を起こすこともできない人形に比することで、「白痴の女」が話すこともままならず、料理を作ることすらできないという印象を与える。
人物描写 (description of a character) 人形という鑑賞物になぞらえることで、「この女」はその美しさを賞玩することしかできないという認識を示す。
評価 (evaluation) 「この女」が「俺」に鑑賞される対象でしかないということについて、悲しいことであると評価している。
誇張法 (hyperbole) 「この女」の役割が「俺」に鑑賞されること以外に何もないという印象を与える。