目次

「鈴の音は澄み透った溪流のように思えた」

Page Type Example
Example ID a1205
Author 梶井基次郎
Piece 「ある心の風景」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 294-295

Text

そんな時朝鮮の鈴は、喬(たかし)の心を顫わせて鳴った。ある時は、喬の現身は道の上に失われ鈴の音だけが町を過るかと思われた。またある時それは腰のあたりに湧き出して、彼の身体の内部へ流れ入る澄み透った溪流のように思えた。それは身体を流れめぐって、病気に汚れた彼の血を、洗い清めてくれるのだ。

Context Focus Standard Context
澄み透った (美しい) 渓流

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 澄んだ = 美しい 美しい=清い

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Elaboration
C Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B - C 統語関係
3 C の[ように思えた] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
4 C [の]ように[思えた] 様-類似-連用形
5 C [のように]思え[た] 思う(おもう)
6 C [のように思え]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
前景化 (foregrounding)

鈴の音の混じりけのなさという聴覚的あるいは情緒的な特徴を、川の水の透明さという視覚的な特徴に転換して表現することにより、その美しさをより明瞭に印象づけている。 |

対照法・対照 (antithesis) 渓流や鈴の澄んでいる様子と、「病気に汚れた彼の血」を対比させる。