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「鈴の音は身体の内部へ流れ入る溪流のように思えた」

Page Type Example
Example ID a1202
Author 梶井基次郎
Piece 「ある心の風景」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 294-295

Text

そんな時朝鮮の鈴は、喬(たかし)の心を顫わせて鳴った。ある時は、喬の現身は道の上に失われ鈴の音だけが町を過るかと思われた。またある時それは腰のあたりに湧き出して、彼の身体の内部へ流れ入る澄み透った溪流のように思えた。それは身体を流れめぐって、病気に汚れた彼の血を、洗い清めてくれるのだ。

Context Focus Standard Context
溪流 (朝鮮の鈴の音)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 溪流 = 音=小川

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Elaboration
C Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B - C 統語関係
3 C の[ように思えた] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
4 C [の]ように[思えた] 様-類似-連用形
5 C [のように]思え[た] 思う(おもう)
6 C [のように思え]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 澄んだ音を澄んだ渓流に比し、喬の心への影響の強さを流れという力動性のある事象として音を捉えることで表現する。
前景化 (foregrounding) 喬が身につけている鈴が鳴らす音を渓流に比すことで、その音の澄んだ様子を強調し、同時にそれと対比される喬の病をも強調する。