目次

「ある痕は、古い本が紙魚(しみ)に食い貫かれたあとのようになっている」

Page Type Example
Example ID a1184
Author 梶井基次郎
Piece 「ある心の風景」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 281

Text

ずっと以前彼はこんな夢を見たことがあった。――足が地脹(じば)れをしている。その上に、噛(か)んだ歯がたのようなものが二列(ふたなら)びついている。脹れはだんだんひどくなって行った。それにつれてその痕(あと)はだんだん深く、まわりが大きくなって来た。あるものはネエヴルの尻のようである。盛りあがった気味悪い肉が内部から覗(のぞ)いていた。またある痕は、細長く深く切れ込み、古い本が紙魚(しみ)に食い貫(ぬ)かれたあとのようになっている。

Context Focus Standard Context
古い本が紙魚に食い貫かれたあと ある痕

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B の[ようになっている] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように[なっている] 様-類似-連用形
4 B [のように]なっ[ている] 変質する(へんしつする)
5 B [のようになっ]て[いる] て-補助用言に連なる用法
6 B [のようになって]いる 居る(いる)

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 夢の中でにできた痕の形状について、それに近似した形状を持つ本の虫食いされた部分を想起させることで近似的に表現する。
奇想 (conceit) 夢の中の出来事という当該人物独自の体験を、読み手に分かりやすい形で想像できるようにしている。