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「母の人柄は怪物のようにわけが分らなく」

Page Type Example
Example ID a1132
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 80

Text

今は社長だの重役だの市長だの将軍だのになっているが、みんな親父の人柄はのみこめても、母の人柄は今でも怪物のようにわけが分らなく思っている。

Context Focus Standard Context
怪物 (母の人柄)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 怪物 = 父母=怪物

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形
4 C 思っ[ている] 思う(おもう)
5 C [思っ]て[いる] て-補助用言に連なる用法
6 C [思って]いる 居る(いる)

Pragmatics

Category Effect
カテゴリー転換 (-) 人々に理解されない母親の心を、人外の存在であり、やはり人間には理解されない「怪物」として表す。
対照法・対照 (antithesis) 理解可能な父の心と対照的な母親の心の異質性を際立たせる。
過大誇張 (auxesis) 人々に理解されない母親の心を、人外の存在であり、やはり人間には理解されない「怪物」として表すことで、母の異質性を強調する。