目次

「飼主のない尨犬(むくいぬ)のやうに、朱雀大路をうろついて歩く孤独な彼」

Page Type Example
Example ID a0686
Author 芥川龍之介
Piece 「芋粥」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 82

Text

色のさめた水干に、指貫をつけて、飼主のない尨犬(むくいぬ)のやうに、朱雀大路をうろついて歩く、憐む可き、孤独な彼である。

Context Focus Standard Context
飼主のない尨犬 うろついて歩く

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 歩く 歩く=犬

Grammar

Construction AのようにB-C-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Elaboration
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように B 様-類似-連用形
3 A の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
4 A [の]ように C 様-類似-連用形
5 B - C 統語関係
6 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 犬という飼い主に従順であり、その下で力を発揮する存在を引き合いに出しながら、飼い主がいないと指定することで想起されるむく犬の頼りなさげな様子によって、人々から馬鹿にされた五位の頼りない様子が具体的に喚起される。
イメジャリー・イメージ (imagery) 飼い主のない犬の典型的なイメージから、五位に頼りなさや寂しさ、惨めさが感じられる。