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「エーテルのように風景に広がっている虚無」

Page Type Example
Example ID a2222
Author 梶井基次郎
Piece 「冬の日」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 309

Text

堯はそう思いながら自分の部屋に目を注いだ。薄暮に包まれているその姿は、今エーテルのように風景に拡がってゆく虚無に対しては、何の力でもないように眺められた。

Context Focus Standard Context
エーテル (虚無) のように風景に拡がってゆく

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 エーテル = 虚無 無=媒質

Grammar

Construction AのようにB-C
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように B 様-類似-連用形
3 B - C 統語関係

Pragmatics

Category Effect
描写 (description) 発話者の抱えている心理的な虚無感が風景に投影されている様子を描く。
イメジャリー・イメージ (imagery) エーテルという不可視でありながらも空間に充満しているものに虚無をなぞらえることで、発話者の抱える虚無感の大きさを表現する。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 虚無感という捉えどころのない対象に、気体としての実体性と空間的な拡散性を付与する。