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「草の葉のように揺れているもの」

Page Type Example
Example ID a2123
Author 梶井基次郎
Piece 「泥濘」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 210

Text

心の休み場所——とは感じないまでも何か心の休まっている瞬間をそこに見出すことがあった。以前自分はよく野原などでこんな気持を経験したことがある。それはごくほのかな気持ではあったが、風に吹かれている草などを見つめているうちに、いつか自分の裡(うち)にもちょうどその草の葉のように揺れているもののあるのを感じる。

Context Focus Standard Context
草の葉 気持 揺れている

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 気持ち 気持ち=葉

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 ちょうど ように ちょうど(ちょうど)
2 A の[ように] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 A [の]ように B 様-類似-連用形
4 B もの 対象(たいしょう)

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 心という抽象的な事物の揺れ動きを、草の葉という具体的な事物の揺れ動きとして表象することで分かりやすくする。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 心とい抽象的な事物に、草の葉という物理的な存在物と同等の実体性を付与する。
心理描写 (psychological-description) 発話者が見ている外界と心を結びつけることで、のどかな野原という情景が心の安らぎとして立ち現れる。