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「嘘の最後っ屁の我慢できぬ悪臭をかいだような気がした」

Page Type Example
Example ID a2097
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 55

Text

空腹を防ぐために子への折檻をひかえた黄村、子の名声よりも印税が気がかりでならぬ黄村、近所からは土台下に黄金の一ぱいつまった甕をかくしていると囁かれた黄村が、五百文の遺産をのこして大往生をした。嘘の末路だ。三郎は嘘の最後っ屁の我慢できぬ悪臭をかいだような気がした。

Context Focus Standard Context
嘘の最後っ屁の我慢できぬ悪臭をかいだ がした

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A 気がした は-既出のものに関する判断の主題
2 B ような[気がした] 様-類似-連体形
3 B [ような]気[がした] 気(き)
4 B [ような気]が[した] が-主語
5 B [ような気が]し[た] する(する)
6 B [ような気がし]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 死んだ黄村の遺産が予想以上に少なく、かつ黄村自体は大往生を遂げていることに対して当該人物が感じた不快を、屁の悪臭の不快感という生理感覚を用いて分かりやすく表現する。
共感覚表現・共感覚的比喩 (synesthesia) 屁の悪臭の不快感を当該人物の感じた心理的な不快感と重ね合わせる。