目次

「唐黍は傷き易い彼の自画像にも違ひなかつた」

Page Type Example
Example ID a1983
Author 芥川龍之介
Piece 「或阿呆の一生」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 416

Text

ある薄ら寒い秋の日の暮、彼は一本の唐黍にたちまちこの画家を思ひ出した。丈の高い唐黍は荒あらしい葉をよろつたまま、盛り土の上には神経のように細ぼそと根を露はしてゐた。それはまたもちろん傷き易い彼の自画像にも違ひなかつた。

Context Focus Standard Context
彼の自画像 (丈の高い唐黍) にも違ひなかった

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 自画像 = とうもろこし がま=像

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B に[も違いなかった] に-比較の基準
3 B [に]も[違いなかった] も-強調
4 B [にも]違い[なかった] 違う(ちがう)
5 B [にも違い]なかっ[た] ない-打消-連用形
6 B [にも違いなかっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) トウモロコシが大きな外葉に覆われつつも根っこが露出して見えている様子と、芸術家が対外的に自分を閉ざし防御しつつ傷つきやすい神経の持ち主であることを類比的に捉える。
人物描写 (description of a character) 過敏な芸術家の表面的な防御性と、根本における過敏さの両方を比喩的に描いている。