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「憂鬱な微笑を浮かべ、静かにこの話を繰り返すであろう」

Page Type Example
Example ID a1922
Author 芥川龍之介
Piece 「河童」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 309

Text

もしまただれか僕の筆記に飽き足りない人があるとすれば、東京市外××村のS精神病院を尋ねてみるがよい。年よりも若い第二十三号はまず丁寧に頭を下げ、蒲団のない椅子を指さすであろう。それから憂鬱な微笑を浮かべ、静かにこの話を繰り返すであろう。

Context Focus Standard Context
憂鬱な () 微笑

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 微笑 > 人間 笑顔>人間

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
対照法・対照 (antithesis) 否定的な評価を伴う「憂鬱」という語と、肯定的な心理の表れである「微笑」との間に、感情的なコントラストを生む。
殊句 (-) 微笑の形容に通常は使われにくい「憂鬱」という語を用いることで、印象的な文章にする。
イメジャリー・イメージ (imagery) 憂鬱な感情を抱いている際の表情を想起させ、それを「微笑」と組み合わせることで、「第二十三号」の微妙な表情を描写する。