目次

「血を吐いた余は土俵の上に仆れた(たおれた)相撲と同じ」

Page Type Example
Example ID a1911
Author 夏目漱石
Piece 「思い出すことなど」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 389

Text

血を吐いた余は土俵の上に仆(たお)れた相撲と同じ事であった。自活のために戦う勇気は無論、戦わねば死ぬという意識さえ持たなかった。余はただ仰向(あおむ)けに寝て、わずかな呼吸(いき)をあえてしながら、怖(こわ)い世間を遠くに見た。

Context Focus Standard Context
血を吐いた余は 土俵の上に仆(たお)れた相撲 () と同じ事であった

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 力士 = 我=力士
2 負ける = 吐血する 貧血する=負ける

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B と[同じことであった] と-比較の基準
3 B [と]同じ[ことであった] 同じ(おなじ)
4 B [と同じ]こと[であった] 事(こと)
5 B [と同じこと]で[あった] て-補助用言に連なる用法
6 B [と同じことで]あっ[た] ある(ある)
7 B [と同じことであっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 勝敗が決しており抗ったところで判定が覆らない状況を引き合いにだすことで、既に自身の生死が予期され、生きるために抗おうする意欲を失っていることを示唆する。
心理描写 (psychological-description) 勝敗が決しており抗ったところで判定が覆らない状況を引き合いにだすことで、既に自身の生死が予期され、生きるために抗おうする意欲を失っているという自身の心境を描く。
縁語・縁装法 (-) 病気との闘いという構図ができ、その後の文章もその構図を使って展開できるようになる。