目次

「よそ見をしている怪物に大きな斧で殴りつけられるようなものだ」

Page Type Example
Example ID a1719
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 272

Text

けれども爆弾という奴は、落下音こそ小さく低いが、ザアという雨降りの音のようなただ一本の棒をひき、此奴が最後に地軸もろとも引裂くような爆発音を起す(…)。おまけに飛行機の高度が高いので、ブンブンという頭上通過の米機の音も至極かすかに何食わぬ風に響いていて、それはまるでよそ見をしている怪物に大きな斧で殴りつけられるようなものだ。

Context Focus Standard Context
よそ見をしている怪物に大きな斧で殴りつけられる (爆弾の投下)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 怪物 = 爆撃機 飛行機=怪物
2 おの = 爆弾 爆弾=なた

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 まるで ような ちょうど(ちょうど)
3 B ような[ものだ] 様-類似-連体形
4 B [ような]もの[だ] 対象(たいしょう)
5 B [ようなもの]だ だ-断定・指定-終止形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 爆撃の被害の甚大さに対して、爆撃機の飛行音などが小さく、攻撃しているように見えない様を表す。
イメジャリー・イメージ (imagery) 爆撃機を怪物と表象することで、力の強大さを表す。
評価 (evaluation) 爆撃機を怪物と表象することで、力の強大さを表しつつ、その強大な存在が無意志的に振るう暴力の大きさへの話者の驚きも反映する。