目次

「古風の人形か能面のような美しい顔立ち」

Page Type Example
Example ID a1636
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 250

Text

気違いは風采堂々たる好男子であり、白痴の女房はこれも然るべき家柄の然るべき娘のような品の良さで、眼の細々とうっとうしい、瓜実顔の古風の人形か能面のような美しい顔立ちで、二人並べて眺めただけでは、美男美女、それも相当教養深遠な好一対としか見受けられない。

Context Focus Standard Context
古風の人形か能面 (白痴の女房)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人形 = 女房 妻=人形
2 能面 = 顔=面

Grammar

Construction AはBのようなC-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D は-既出のものに関する判断の主題
2 B の[ような] D の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ような D 様-類似-連体形
4 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 人形や能面という人工的に作られた美しい事物になぞらえることで、「白痴の女房」の美しさが並外れたものであるという印象を与える。
評価 (evaluation) 人形や当面になぞらえることで、「白痴の女房」の並外れて美しい要望を肯定的に評価する。
人物描写 (description of a character) 「白痴の女房」がどのような人物であるのかを、その容貌の並外れた美しさに焦点を当てて描いている。
縁語・縁装法 (-) 人形のような観賞品によそえることで、「並べて眺めた」のような発話者の鑑賞の対象としての表現が導出される。