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「義理人情というニセの着物をぬぎさり」

Page Type Example
Example ID a1591
Author 坂口安吾
Piece 「続堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 237

Text

人間の、又人性の正しい姿とは何ぞや。欲するところを素直に欲し、厭な物を厭だと言う、要はただそれだけのことだ。好きなものを好きだという、好きな女を好きだという、大義名分だの、不義は御法度だの、義理人情というニセの着物をぬぎさり、赤裸々な心になろう、この赤裸々な姿を突きとめ見つめることが先ず人間の復活の第一の条件だ。

Context Focus Standard Context
着物 (義理人情)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 着物 = 人情 情け=服

Grammar

Construction AというBのCをD
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Elaboration
C Source
D Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A と[いう] C と-引用語句
3 B C の-性質・性格・状態
4 C D を-目的・目標(他動詞)

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 大義名分や建前といった表向き人々に見せるものを着物として捉えることで、服に隠された裸体を本音とする類比関係が生じる。
評価 (evaluation) 着物を「ニセ」と指定することで負の評価を表明し、本音で生きることの大切さを提示する。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 大義名分や建前といった振る舞いや言動に、着物と同じように着脱可能であるかのような印象を与える。