目次

「禅坊主の悟りと同じことで」

Page Type Example
Example ID a1518
Author 坂口安吾
Piece 「日本文化私観」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 192-193

Text

タウトは修学院離宮の書院の黒白の壁紙を絶讃し、滝の音の表現だと言っているが、こういう苦しい説明までして観賞のツジツマを合せなければならないというのは、なさけない。蓋し、林泉や茶室というものは、禅坊主の悟りと同じことで、禅的な仮説の上に建設された空中楼閣なのである。

Context Focus Standard Context
禅坊主の悟り (林泉や茶室)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 悟り = 茶室 庵=悟り

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B と[同じことで] C と-比較の基準
3 B [と]同じ[ことで] C 同じ(おなじ)
4 B [と同じ]こと[で] C 事(こと)
5 B [と同じこと]で C だ-断定・指定-連用形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 林泉や茶室の鑑賞が禅という理論的な枠組みの中で解釈されて初めて意味を持ち、理論的な背景を知らない人々には理解されない脆弱なものであることを、坊主の悟りによって類推的に表す。