目次

「私の病んでいる生き物」

Page Type Example
Example ID a1209
Author 梶井基次郎
Piece 「ある心の風景」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 295-296

Text

しかしある夜、喬は暗(やみ)のなかの木に、一点の蒼白い光を見出した。いずれなにかの虫には違いないと思えた。次の夜も、次の夜も、喬はその光を見た。 そして彼が窓辺を去って、寝床の上に横になるとき、彼は部屋のなかの暗にも一点の燐光を感じた。『私の病んでいる生き物。私は暗闇のなかにやがて消えてしまう。しかしお前は睡らないでひとりおきているように思える。そとの虫のように……青い燐光を燃しながら……』

Context Focus Standard Context
私の病んでいる生き物 (蒼白い光)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 生き物 = 光=生物

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
象徴・シンボル (symbol) 虫のような蒼白い光が喬自身の悩みの象徴であるかのように感じられたことが表現されている。
活喩 (prosopopeia) 本来は喬の心の内にあるはずの「悩み」が、光を発する生き物として外部化されている。