目次

「持病で時々死の恐怖をのぞき」

Page Type Example
Example ID a1130
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 79

Text

私の母は継娘に殺されようとし、又、持病で時々死の恐怖をのぞき、私の子供の頃は死と争ってヒステリーとなり全く死を怖れている女であったが、年老いて、私と和解して後はおよそ死を平然と待ちかまえている太々しい老婆であった。

Context Focus Standard Context
恐怖を のぞき (感じ)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 のぞく = 感じる 感じる・感ずる=のぞく

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 死の恐怖を感じるという心情的な経験を、落ちないように気をつけながら暗い穴の中を覗き見るときの気持ちによって類比的に表す。
明晰 (clarity) 不安と好奇心が同時に去来する出来事であったことがわかりやすく描かれている。
死喩 (dead metaphor) 「のぞく」は「ほんの一部分だけ知る」という意味を表す慣用表現だが、「死の恐怖をのぞき」と表現することで、底が見えない暗い穴として、死の具体的なイメージが喚起される。