目次

「白い両腕を二匹の生き物のように、だらりと卓上に匍(は)わせた」

Page Type Example
Example ID a1055
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 47

Text

こう云いながら、女は座敷の中央の四角な紫檀(したん)の机へ身を靠(もた)せかけて、白い両腕を二匹の生き物のように、だらりと卓上に匍(は)わせた。

Context Focus Standard Context
二匹の生き物 両腕

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 生き物 = 腕=生き物

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C を-目的・目標(他動詞)
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形
4 C せ[た] せる-使役-連用形
5 C [せ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 腕を単独の生き物であるかのように表象する。それにより、女の腕が卓上に伸びている様子の艶めかしさを、「匍わせる」という隠喩を導出することで、蛇などを想起させ、蛇などに対する生理的な感覚とエロティシズムの感覚を重ねて表現する。
人物描写 (description of a character) 腕を単独の生き物であるかのように表象する。それにより、女の腕が卓上に伸びている様子の艶めかしさを、生き物の持つ生々しさを想起させて表現する。