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「廃頽した快感が古い葡萄酒の酔いのように魂をそそった」

Page Type Example
Example ID a0882
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 36

Text

剥げかかったお白粉が肌理の粗いたるんだ頬の皮へ滲み着いて居るのを、鏡に映して凝視して居ると、廃頽した快感が古い葡萄酒の酔いのように魂をそそった。

Context Focus Standard Context
古い葡萄酒の酔い 廃頽した快感 魂をそそった

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 酔い = 快感 快=酔い

Grammar

Construction AがBのようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 上質な「古い葡萄酒」(年代物のワイン)に酔ったときの身体感覚を想起させることで、女装の残痕である白粉が自分のナマの肌に染みついていることを発見し、女装という非現実が現実的な自身を浸食していることに対して覚えた倒錯的な快感をわかりやすく表現している。