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「琉球朱の一滴々々は、彼の命のしたたりであった」

Page Type Example
Example ID a0856
Author 谷崎潤一郎
Piece 「刺青」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 19

Text

焼酎に交ぜて刺り込む琉球朱の一滴々々は、彼の命のしたたりであった。

Context Focus Standard Context
したたり

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 滴り = 命=水滴

Grammar

Construction AはBのCであった
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B C の-同格(同じ内容)
3 C で[あった] て-補助用言に連なる用法
4 C [で]あっ[た] ある(ある)
5 C [であっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 彫った女の肌に注ぐ朱を自分の命と同一視しており、彫り進めていくにつれてあたかも自分の命が女の肌に浸透していくかのような印象を与える。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 命を液体になぞらえることで、滴りつづけるとやがて命が尽きてしまうかのような印象を与える。