目次

「津村は『昔』と壁ひと重の隣りへ来た気がした」

Page Type Example
Example ID a0846
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 270-271

Text

四十年前の日も、つい昨日の日も、ここでは同じに明け、同じに暮れていたのだろう。津村は『昔』と壁ひと重の隣りへ来た気がした。

Context Focus Standard Context
「昔」 と壁ひと重の隣りへ来た (とほとんど同じ経験をした)

Rhetoric

Semantics

Grammar

Construction AはB気がした
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B 気[がした] 気(き)
3 B [気]が[した] が-主語
4 B [気が]し[た] する(する)
5 B [気がし]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
過大誇張 (auxesis) 4年前から変わらない生活を送る場所について、過去の時間を近しく感じることを、壁一枚を隔てた隣という空間的な隣接によって具象的に表現する。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 過去と現在の時間的な隔たりが、物理的な大きさや厚さのある壁によって隔てられているかのような印象を与える。