目次

「――こんな考へが、『こまつぶり』のやうに、ぐるぐる一つ所を廻つてゐる」

Page Type Example
Example ID a0684
Author 芥川龍之介
Piece 「芋粥」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 77

Text

出来る事なら、突然何か故障が起つて一旦、芋粥が飲めなくなつてから、又、その故障がなくなつて、今度は、やつとこれにありつけると云ふやうな、そんな手続きに、万事を運ばせたい。――こんな考へが、『こまつぶり』のやうに、ぐるぐる一つ所を廻つてゐる中に、何時か、五位は、旅の疲れで、ぐつすり、熟睡してしまつた。

Context Focus Standard Context
こまつぶり 考へ

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 こまつぶり = 考え 考え=手玉

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Elaboration
E Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B が-主語
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形
4 C - D 統語関係
5 D E を-経路・舞台

「ぐるぐる」「一つ所」をそれぞれElaborationとした。

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 同じ事を何度も考えることを、一か所で回転しつづけるという特定の動作のみを繰り返しつづける独楽を引き合いに出すことで、心理という抽象を具象的にわかりやすくする。
心理描写 (psychological-description) 同じ場所で回転し続ける独楽のイメージになぞらえることで、その時の五位の心の在り方を描いている。