目次

「沈黙を続けていると、ヒーッ、頭の上から禽(とり)が意味の分らぬ歌を投げ落した」

Page Type Example
Example ID a0631
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 106

Text

恐ろしい大きな高い巌が前途(ゆくて)に横たわっていて、あのさきへ行くのか知らんと疑われるような覚束ない路を辿って行くと、辛うじてその岩岨(いわそば)に線のような道が付いていて、是非なくも蟻の如く蟹の如くになりながら通り過ぎてはホッと息を吐くこともあって、何だってこんな人にも行会わぬいわゆる僻地窮境に来たことかと、聊(いささ)か後悔する気味にもならざるを得ないで、薄暗いほどに茂った大樹の蔭に憩いながら明るくない心持の沈黙を続けていると、ヒーッ、頭の上から名を知らぬ禽(とり)が意味の分らぬ歌を投げ落したりした。

Context Focus Standard Context
ヒーッ () 頭の上から名を知らぬ禽が意味の分らぬ歌を投げ落したりした

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ひー = 鳥=わんわん

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
声喩・オノマトペ (onomatoeia) オノマトペが単独で生起することで、鳥の鳴き声が突然で、驚くものであった様が感じられる。
心理描写 (psychological-description) オノマトペが単独で生起することで、鳥の鳴き声が突然で、驚くものであったという語り手の心理状態が感じられる。
句読法 (punctuation) 「ヒーッ」というオノマトペの前後が読点で区切られていることで、禽の鳴き声に際立ちが与えられ、それが唐突に聞こえてきたという印象を与える。