目次

「親切な雨が降る度に訪問するのであろう」

Page Type Example
Example ID a0378
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 109

Text

門を入ると寺内は思いのほかに廓落(からり)と濶(ひろ)くて、松だか杉だか知らぬが恐ろしい大きな木が有ったのを今より何年か前に斫ったと見えて、大きな切株の跡の上を、今降りつつある雨がおとづれて其処に然様(そう)いうものの有ることを見せていた。(…)それを目ざして進むと、丁度本堂仏殿のありそうな位置のところに礎石(そせき)が幾箇ともなく見えて、親切な雨が降る度に訪問するのであろう今もその訪問に接して感謝の嬉し涙を溢らせているように、柱の根入りの竅(あな)に水を湛えているのが能く見えた。

Context Focus Standard Context
雨が 訪問する (降る)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 訪問する = 降る 降る=訪ねる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
評価 (evaluation) 「感謝」とあるように降雨を喜ばしいものとして捉えている。
擬人法 (personification) 「雨」を訪ねる主体とする擬人法を用いることで、語り手が「雨」を人間と同格のものとして捉えていることを示す。