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「その余念のない顔付はおだやかな波を額に湛えて」

Page Type Example
Example ID a0363
Author 幸田露伴
Piece 「太郎坊」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 9

Text

主人は甲斐甲斐しくはだし尻端折で庭に下り立って、蝉も雀も濡れよとばかりに打水をしている。丈夫づくりの薄禿の男ではあるが、その余念のない顔付はおだやかな波を額に湛えて、今は充分世故に長けた身のもはや何事にも軽々しくは動かされぬというようなありさまを見せている。

Context Focus Standard Context
顔付はおだやかな波を額に 湛えて (持って)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 湛える = 持つ 持つ=満ちる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
縁語・縁装法 (-) 直前の「おだやかな波」を受け、水による人物描写を展開する。
人物描写 (description of a character) 海のような広大さと波のおだやかさが、彼の人となりを示唆している。
明晰 (clarity) 主人の額に刻まれた皺の形が波を想起させることによってわかりやすく表現されている。