目次

「切れるように冷たい土を両手で掻き拡げて」

Page Type Example
Example ID a0299
Author 夢野久作
Piece 「いなか、の、じけん」
Reference 『夢野久作全集第1』
Pages in Reference 72

Text

文作は身体中の血が一時に凍ったようにドキンとした。ワナワナと慄え出しながら、切れるように冷たい土を両手で掻き拡げて、丹念に探しまわってみると、泥まみれになってはいるが、脊椎骨らしいものが七八ツと、手足の骨かと思われるものが二三本と、わけのわからない平べったい、三角形の骨が二枚と、一番おしまいに、黒い粘っこい泥が一パイに詰まった、頭蓋骨らしいものが一個出た。

Context Focus Standard Context
切れる 冷たい

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 切れる > 冷たい 切れる>冷たい

Grammar

Construction AようにB-C
Mapping Type 概念メトニミー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A ように B 様-類似-連用形
2 B - C 統語関係

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 冷たさの持つ鋭利な質感を刃物の鋭利さと同等に捉え、その程度が高いことを鋭利なものを肌に当てることで生じる「切れる」という状態を引き合いに出すことで、当該の土の冷たさの程度が極めて高いという印象を与える。
誇張法 (hyperbole) 刃物などで外的に傷つけられることを連想させる「切れる」を用いることで、冷たさによって生じる痛覚が強く、鋭いものであることを、強調的に示している。