目次

「いけないのはその不吉な塊だ」

Page Type Example
Example ID a2352
Author 梶井基次郎
Piece 「檸檬」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 11

Text

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧(おさ)えつけていた。焦躁(しょうそう)と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔(ふつかよい)があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。これはちょっといけなかった。結果した肺尖カタルや神経衰弱がいけないのではない。また背を焼くような借金などがいけないのではない。いけないのはその不吉な塊だ。

Context Focus Standard Context
いけないのはその 不吉な塊 (焦燥や嫌悪)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = いらだち いら立ち=塊

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 不安や焦燥といった感情に、何かの塊のような、大きさや重さのある物理的な存在感を与える。
カテゴリー転換 (-) 不安や焦燥といった感情による心理的な影響に、何かの塊が与える物理的な力と同等の実質的な影響を感じさせる。
心理描写 (psychological-description) 何かの塊が体を物理的に圧迫するときの身体的な息苦しさと不快感を想起させ、不安や焦燥がどのように感じられているかを描く。