目次

「笑うとひどく滑稽な愛嬌に富んだものに見える」

Page Type Example
Example ID a2337
Author 中島敦
Piece 「牛人」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 284

Text

眼の凹んだ・口の突出た・黒い顔は、ごく偶(まれ)に笑うとひどく滑稽な愛嬌に富んだものに見える。こんな剽軽(ひょうきん)な顔付の男に悪企(わるだくみ)など出来そうもないという印象を与える。目上の者に見せるのはこの顔だ。仏頂面をして考え込む時の顔は、ちょっと人間離れのした怪奇な残忍さを呈する。儕輩(さいはい)の誰彼が恐れるのはこの顔だ。意識しないでも自然にこの二つの顔の使い分けが出来るらしい。

Context Focus Standard Context
滑稽な () 愛嬌に富んだ

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 滑稽 ←→ 残忍 クラシカル<-->酷

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
転用語法 (enallage) ここで並列される「滑稽な」「愛嬌に富んだ」は両立しないことはないが、通常の「愛嬌」から想定される肯定的な印象とは異なることを「滑稽な」と結びつけることで表現している。
評価 (evaluation) ここで並列される「滑稽な」「愛嬌に富んだ」は両立しないことはないが、通常の「愛嬌」から想定される肯定的な印象とは異なることを「滑稽な」という否定的な評価を含む表現によって上書きしている。
対照法・対照 (antithesis) 目上に見せる「滑稽な」顔を詳しく描写することで、仲間内で見せる「残忍」な顔との対照性を際立たせる。