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「堯(たかし)の虻(あぶ)は見つけた」

Page Type Example
Example ID a2221
Author 梶井基次郎
Piece 「冬の日」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 306

Text

——堯(たかし)はふと、これはどこかで見たことのある情景だと思った。不意に心が揺れた。揺り覚まされた虻が茫漠とした堯の過去へ飛び去った。その麗かな臘月の午前へ。堯(たかし)の虻(あぶ)は見つけた。山茶花(さざんか)を。

Context Focus Standard Context
堯(たかし)の (思い) は見つけた

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 思い 思い=昆虫

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
寓意・アレゴリー (allegory) 直前の「揺り覚まされた虻」に連なる表現。
イメジャリー・イメージ (imagery) 餌を求めてしきりに動き回る虻のイメージを通して、目の前の情景をいつどのように見たことがあるのかを思い出そうと様々に思いを巡らせるという堯の心の動きを具体的に想起させる。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 記憶を辿るという心的活動に、虻の素早さや軌跡などの空間的な移動に関わる特性を付与する。
心理描写 (psychological-description) 餌を求めてしきりに動き回る虻のイメージを通して、記憶を辿る堯の心の動きを描く。