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「嘘は犯罪から発散する音無しの屁だ」

Page Type Example
Example ID a2099
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 55

Text

三尺ほど前方の畳のへりを見つめながら三郎は考える。嘘は犯罪から発散する音無しの屁だ。自分の嘘も、幼いころの人殺しから出発した。父の嘘も、おのれの信じきれない宗教をひとに信じさせた大犯罪から絞り出された。

Context Focus Standard Context
犯罪から発散する 音無しの屁

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = うそ うそ=へ

Grammar

Construction AはBだ
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-一般的事物に対する判断の主題
2 B だ-断定・指定-終止形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 音無の屁という事象は、屁という不快・羞恥を喚起する生理現象が人に知られずに発生するものであることを想起させ、犯罪における嘘もそれと同じく、犯罪を起こすとそれに伴い嘘を付かざるをえず、それが気付かないうちに人々や自分自身を不快にさせることを表現する。