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「水気をふくんだ重たい風が地を這いまわる」

Page Type Example
Example ID a2065
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 36

Text

ひる少しすぎたころ、だしぬけに黒雲が東北の空の隅からむくむくあらわれ二三度またたいているうちにもうはや三島は薄暗くなってしまい、水気をふくんだ重たい風が地を這いまわるとそれが合図とみえて大粒の水滴が天からぽたぽたこぼれ落ち、やがてこらえかねたかひと思いに大雨となった。

Context Focus Standard Context
重たい ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 重たい = 湿った 湿っぽい=重い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
共感覚表現・共感覚的比喩 (synesthesia) 湿度の高さという触覚的な知覚が、重さという力動性をつうじて得られたことを示唆する。
明晰 (clarity) 「重い」という感覚を直接想起する語によって、読者が湿度の高い様子を想像しやすくしている。
自然描写 (description of nature) 重さの感覚をつうじて、風の湿り気の強さを描いている。
縁語・縁装法 (-) その後の「地を這い回る」という風の擬人化された動的イメージに結びつける効果も持つ。